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「A子ちゃん天才」「すごい面白い!本当にいい!」

 A子さんは2017年1月22日に約10万字の原稿を書き上げた。

「松浦さんとも何度もやりとりして、事実確認を重ねながら原稿を仕上げました。箕輪さんにも途中経過を報告し、そのたびに『Aちゃん天才』『すごい面白い!本当にいい!』と言ってもらえたので出版が待ち遠しかったです」

箕輪氏とのメッセージ。当初、箕輪氏はA子さんの原稿を絶賛していた
箕輪氏とのメッセージ。執筆にあたって、A子さんと箕輪氏は頻繁に意見交換をしていた

 

 しかし出版が目前に迫ってくるにつれ、松浦氏は離婚を公表することに及び腰になっていった。

松浦《さっき離婚の弁護士と話したんだけど、慰謝料や財産分与の件を書くとやはりリスクにはなるらしい。抜け道っぽいから。》(松浦氏・A子さんのLINEより 2017年1月31日午後12時58分)

A子《わかった! そこも、どう和らげるかインタビューの時に!》(松浦氏・A子さんのLINEより 2017年1月31日午後12時59分)

「出版すると間違いなく偽装離婚にされる」

 そしてついに松浦氏から出版を取り止めたいと連絡が入った。

「離婚を公表できなくなった、と言われてしまいました。奥様が離婚を公表することに否定的で、説得しきれなかったことがまず1つ。そして松浦さんが弁護士に離婚理由の公表について相談した際に『偽装離婚だと疑われて贈与税を取られるからやめた方がいい』と言われたことが決定打になったようです」

松浦氏からのLINE。出版予定で進んでいた話が松浦氏の都合で中止になることで、「1万部俺が買い取るよ」とA子さんに伝えている。

松浦《今、専門の弁護士に確認したらこの本の内容を出版すると間違いなく偽装離婚にされ国税から贈与税取られると言われた。》(松浦氏・A子さんのLINEより 2017年2月1日午後6時3分)

松浦《俺が離婚したということが世間に広まると必ずと国税の調査は入るでしょうと言われたから、そもそもこの本の出版は無理だったってことになる。わざわざ出る杭は打たれることをしないでくださいと言われました。その筋では有名な○○弁護士という方からでした。》(松浦氏・A子さんのLINEより 2017年2月1日午後6時7分)

松浦氏から出版NGが出た際のLINE

 いままでの努力が霧散し、A子さんは深く落胆した。だが、「松浦さんが本を出したくないと言うなら仕方がないと思った」という。

「本人が出したくないと言う本を無理やり出版するのは本望ではありません。松浦さんのために世界に1冊だけの本を書いたと思えばいいじゃないかと自分を慰めました。それでも約2カ月、必死に頑張ってきたので、とても辛かったです」

 東証一部上場企業の会長であり、ドラマのモチーフにもなるほど著名な音楽業界のカリスマが、税逃れのために偽装離婚に及ぶなど、決して許されることではない。それを「家族のためだ」として悪びれもせず自伝本の中に盛り込もうとする感覚は、われわれ一般の納税者とは大きくかけ離れている。

 松浦氏の“偽装離婚”や“税逃れ”をめぐる発言などについて、取材班は5月14日(木)、エイベックスに書面で事実確認を求めたが、期日までに回答はなかった。だが同日、取材班が質問状を同社に送った数時間後に、松浦氏のCEO退任が公表されたのだった。

 そしてこの自伝本制作の裏では、もうひとつの事件が起きていた。編集担当の箕輪氏が、仕事を理由にA子さんへ不倫関係を迫っていたのだ――。(後編#2へ続く)

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