元エイベックス社員でライターのA子さん(30代)が、幻冬舎の箕輪厚介氏の依頼で執筆したエイベックス会長・松浦勝人氏(55)の自伝。約10万字に及ぶ原稿は、A子さんが「書籍のなかで離婚を公表したい」という松浦氏の意向と幻冬舎の都合に沿い、約2カ月間で書き下ろした。
本稿の前編#1【《CEO退任》エイベックス松浦氏が「偽装離婚で税金逃れ」を告白した“幻の自伝本”インタビューを公開】では、A子さんが箕輪氏に依頼された日から、書籍完成間際になって松浦氏が出版取り止めを要求するまでを詳報している。(※松浦氏が“偽装離婚”の本音を吐露する肉声データは5月16日(土)20時より放送の「文春オンラインTV」にて公開)
◆
「全然伝わってこない」見城氏は原稿を酷評
松浦氏から「離婚理由を公表できなくなった」と自伝本の出版を取り止めたいと要求され、A子さんは意気消沈した。
「でも箕輪さんとは昼夜問わず連絡を取り合い、修正に修正を重ねて原稿を練り上げたので、見城さんにも原稿をお見せすることになったんです。箕輪さんが松浦さんの意向を見城さんに伝えたら、『まずは読んでみる』と言ってくださったみたいで。もしかしたら見城さんがいい解決策を提示してくださるんじゃないかという期待もありました」(A子さん)
A子《見城さんバタバタでまた渡せてないみたい。何時になるか読めないけど渡してもらったら連絡もらうね!》(松浦氏・A子さんのLINEより 2017年2月2日午後3時55分)
A子《箕輪さんが、国税・家族のこと、社長の意向も伝えつつ、見城さんに原稿渡してくれたら「まずは読んでみる」と言ってくれたらしくて》(松浦氏・A子さんのLINEより 2017年2月2日午後4時41分)
しかし見城氏からの評価は芳しいものではなかった。
「見城さんが『全然伝わってこない』『箇条書きみたいでストーリーになってない』と言っていることを箕輪さん経由で知りました。箕輪さんからは褒めていただいていただけに、すごくショックでした」
箕輪《見城さん、だめだった! 松浦さんには違う伝え方してるかもしれないからこのまま言わないでもらいたいんだけど、全然伝わってこないし箇条書きみたいでストーリーになってないし、いろんな書けないことがある危険を冒してまで出して売れるとは思わないって。ストーリーにはなってないなと思ったけど、それが松浦さんっぽくもあった気がしたんだけど、見城さんが読んでそう思うならそれが本当の気もする。。多分今日か明日か見城さんから松浦さんに電話が入るはず。ひとまずお疲れ様。今度ゆっくり話しましょう》(箕輪氏・A子さんのFacebookメッセンジャーより)
そのうえ、A子さんには見城氏からの非情な仕打ちが待っていた。
「今でも覚えています。まだ本を出版する前提だった1月半ばごろに、箕輪さんから『見城さんとご飯行かない?』と誘いを受けていたのです。日付は2月4日に指定されていました。見城さんと私と箕輪さんの3人で飯倉片町にある有名レストランで食事をしようと言われてすごく楽しみにしていたんです」
「でも2月に入って出版の話がなくなりそうだったので、箕輪さんに本当に会食をするのかと確認しました。忙しい編集者と社長が、出版の話がなくなった、いちライターと食事をする理由なんてあるのだろうかと思ったので。箕輪さんに、おそるおそる『4日はそのままで良いですか』と聞いたら、『うん!』と言われたのでなんて懐の深い人たちなんだろうと思ったのを覚えています」
2月4日、その日は冬晴れの気持ちがいい天気だったという。A子さんはコートを羽織り、待ち合わせ場所へと向かった。