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「バイ菌をまき散らすな」企業内で横行する"コロハラ村八分"の中身

現状、ワクチンもクスリもない新型コロナウイルスを恐れる気持ちはわからないではない。しかし、この経営者は理性が完全に吹っ飛んでいると言わざるをえない。

「感染している」という極端な思い込みで、女性を排除しようという執拗かつ異様な行動に驚いてしまう。経営者として他の従業員の健康を気遣っているというより、自分自身が感染することを極度に恐れているように見える。先の保育所の所長や上司の行動とも共通する。

「自己愛的な性格を持ち、その性格が“変質的”な段階まで高まった人」

彼らはなぜこうした異常な行為に走ってしまうのか。じつは陰湿なハラスメントを行う人に関する興味深い分析がある。

モラル・ハラスメントを提唱したフランスの精神科医のマリー=フランス・イルゴイエンヌ氏はモラハラの加害者を「自己愛的な性格を持ち、その性格が“変質的”な段階まで高まった人」と定義する。自分の身を守るために、他人の精神を平気で破壊し、しかもそれを続けていかないと生きていくことができない人であるとも言っている。

イルゴイエンヌ氏は自らの臨床経験に照らして次のように述べている。

<モラル・ハラスメントの加害者は何につけても自分が正しいと思っている。その結果、いわば自分が<常識>であり、真実や善悪の判定者であるかのようにふるまう。そのため、まわりにいる人々は加害者のことを道徳家のように思って、加害者が何も言わなくても、自分が悪いことをしているような気持ちになることがある。いっぽう加害者のほうは、自分の基準が絶対的なものだと考え、その基準をまわりの人々に押しつける。そうやって、自分が優れた人物であるという印象を与えるのだ。>(『モラル・ハラスメント』紀伊國屋書店)

「自分は善悪の判定者」であると思いこむ人がコロハラ繰り返す

「真実や善悪の判定者であるかのようにふるまう」というのは、前出の上司や社長もそうである。除菌スプレーを吹き付ける行動はまさに自分を絶対化する「自己愛的な変質者」そのものではないか。