5月15日に発表したメガバンク3行の2020年3月期決算。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が三井住友フィナンシャルグループ(FG)に純利益で初めて抜かれ、トップバンクから陥落した。
総資産を比べると、MUFGは337兆円で、一方の三井住友FGは219兆円。規模で圧倒的な差があるのに、なぜMUFGは首位から転落したのか。
その要因のひとつが傘下の海外銀行で減損処理を余儀なくされたためだ。
「平野信行FG会長が『(世界最大級のメガバンク)HSBCを目指す』と公言し、推進してきた海外銀行のM&Aが足を引っ張った格好です。世界的な株価急落もあるが、買収時の資産査定が甘かったと言わざるを得ません」(銀行アナリスト)
理由はそれだけではない。最大の焦点は、三井住友に7ポイント差をつけられている経費率の高さだ。
「他行と異なり、激しいリストラや給与カットをせず、規模の拡大に邁進してきた。超低金利が続く中で、収益の改善に取り組んでこなかったツケが回ってきているのです」(同前)
大手銀行幹部が話す。
「4月にMUFG社長となった亀沢宏規氏(58)と三菱UFJ銀行の三毛兼承(かねつぐ)頭取(63)がタッグを組んで、平野社長時代の負の遺産を解消しての巻き返しに躍起となっています」
三毛氏が頭取に就任したのは17年6月。前任の小山田隆頭取が体調不良で退任したため、平野氏の指名による緊急登板だった。