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テレワークが暴いた“不都合な真実” ポスト・コロナに「中間管理職」がごっそり淘汰されるワケ

“野良リーマン”が街にあふれる!?

2020/06/02
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 日本人のほぼ全員を家に閉じ込めてきた緊急事態宣言が解除され、働き手の多くが職場に戻ることとなった。新型コロナは感染症であり、これまでの人類の歴史はウイルスとの闘いでもある。したがって、この感染症は第2波、第3波はあってもやがて落ち着き、人類は新たなウイルスとの共生方法を学んでいくのだろう。

 では約2か月間の蟄居を命じられていたサラリーマンたちは、宣言解除を受けてまたコロナ前と同様に毎朝毎夕満員の電車に揺られて通勤するのか。世の中は、もとどおりになるだけなのだろうか。

 緊急事態宣言の期間中、サラリーマンの多くは在宅勤務を強いられた。最初は経営者も社員も戸惑いをもって始めたテレワークだったが、実際におこなってみると、意外にもある程度機能することが分かってきた。

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テレワークは案外“便利で快適”だった

 社員は、通勤時間がいかに無駄なものであったかに気付かされた。会社に行かなければ嫌な上司に気を遣う必要がないし、自宅であれば多少さぼっていても注意される心配もない。自分のペースで仕事ができるのだ。快適じゃないか! また、会社に行かなくても自分は十分仕事で成果をあげられると、自身の能力を再発見する機会にもなった。

 いっぽうで経営者にも大きな発見があった。これまでは、毎朝社員が「おはようございます」といって出社してきて、デスクに座ることでなんとなく一日の仕事が始まっていた。そして、夕方「お先に失礼します」といって社員が帰っていくと、なんとなく一日の仕事が終わっていた。

 ところがテレワークという働き方は、社員一人一人に細かなタスクを指示し、それぞれが時間通りにできるかをチェックするのにはものすごく便利なツールである。会社でなんとなくボケーと座っているだけで一日をやり過ごしていた社員がいても、日々の業務の中で見過ごしがちだったのが、テレワークではその怠けぶりが一目瞭然なのだ。

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日本の会社組織の「262の法則」

 どうやらテレワークは経営者にも社員にも新たな気づきを与えることになったのだ。そうした状況でポスト・コロナは始まる。

 日本の会社組織ではよく「262の法則」があると言われている。つまり全社員のうち約2割は、会社のために本当に役に立ち、リードしていくことができる優秀な人たち。また、逆に約2割はいわゆる落ちこぼれで、会社にぶら下がるだけで何の生産性もない人たち。そして残りの約6割が普通の社員。素晴らしくできるわけでもないが、全く役に立たないわけでもない社員たちだ。