昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/06/22

PR

半身浴では効果減! 40℃のお湯で10分全身浴

 気温が高くなるこれからの季節、湯船には浸からずにシャワーで済ますという人も少なくないと思うが、免疫力を高めるという点ではやはりきちんとお風呂に入ることも欠かせない。温泉療法専門医で、生活習慣としての入浴を医学的に研究する東京都市大教授の早坂信哉氏に聞いた。

温泉療法専門医・早坂信哉氏
温泉療法専門医・早坂信哉氏

「お風呂に入ることで体が温まり、血流がよくなります。そして、自律神経をつかさどる副交感神経を高めてくれることで免疫力が働きやすくなるので、副交感神経を高める入り方をするのがおすすめです」

 具体的には、「40℃のお湯で10分全身浴」。たった10分でいいという。

「温度が大事で、副交感神経を高めるには40℃が最適です。10分で十分な入浴効果が得られますので、長湯する必要はありません。長く入ってもだめではありませんが、熱中症の危険も出てくるため、途中で休憩しながら入ったほうがよいでしょう」

 女性に人気の半身浴はどうなのだろうか。

「半身浴は、簡単に言うと温熱効果も半分になります。40℃の全身浴なら10分で済むところを、半身浴だと効果が出るのに20分かかるということです。高齢者や呼吸機能が落ちている方などには、水圧などの負荷が少ない半身浴をおすすめすることもありますが、元気な人にとってはゆっくり入れる分、本を読んだりテレビを見るなど、お風呂の滞在自体を楽しむというメリットくらいでしょう」

 温浴効果を高めるという点では、入浴剤を入れるのもおすすめだそう。

炭酸系が特におすすめです。皮膚から炭酸が吸収されて、血管を直接拡張させるので血流がよくなります。お湯に入れてから2時間は効果が持続します」

「半身浴で汗をかくのがいい」は誤り!? 早坂氏はバスクリンの炭酸系入浴剤を愛用
「半身浴で汗をかくのがいい」は誤り!? 早坂氏はバスクリンの炭酸系入浴剤を愛用

寝汗は× 年間を通じて「エアコン+羽毛布団」

 在宅勤務となり、以前よりもしっかり睡眠がとれるようになったという人もいれば、生活サイクルが乱れて深夜までダラダラと起きているという人も少なくないのではないだろうか。

 東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏によると、「睡眠が足りていないと感染症のリスクが高くなる」という研究結果が明らかになっているという。

疲労・睡眠 梶本修身医師
疲労・睡眠 梶本修身医師

「新型コロナウイルスに関するデータはまだ明らかになっていない部分が多いですが、インフルエンザなどのウイルス感染症では、睡眠不足の状態が慢性化している方においては、感染リスクが3倍になるというデータがあります。また、ワクチンも、摂取した日の夜の睡眠が足りていなかった方は、抗体が約半分しか出来なかったということも明らかになっています」

 最近「睡眠負債」という言葉をよく耳にするが、文字通り日々の睡眠不足が借金のように積み重なった状態のことをいい、この「睡眠負債」の蓄積が免疫力を下げたり、心身にさまざまな悪影響を及ぼすという。

「睡眠の質とリズムを作っているのは自律神経で、体のあらゆる活動にも関わっています。免疫もコントロールしているので、疲労やストレスなどで自律神経の機能が落ちていると、ウイルスや細菌にも感染しやすくなります。睡眠の質を高め、自律神経を休ませることが大切なのです」

 どのようなことに気をつければよいのだろうか。

「一番大事なのは、深部体温をコントロールすること。深部体温とは、脳や内臓など体の中心の温度のことで、つまり脳を冷やしてあげることが重要です。『頭寒足熱』という言葉がありますが、文字通り頭を冷やして足を温めること。氷枕などの冷たい枕や冷却シートで外側から頭を冷やすわけではなく、体の中から冷やさないと意味がありません」

 鼻腔の奥は自律神経中枢に薄い皮1枚を介して接しており、脳へ向かう毛細血管が密なため、鼻から冷たい空気を吸い込むことで脳は冷える。「鼻は脳の冷却装置」だからこそ重要なのが、部屋の温度だ。

「女性は寒がりなので、夏はエアコンを切って寝るという人も多いと思いますが、これはおすすめできません。脳にとって寝汗をかく状況はもってのほかで、寝ている間に汗をかく状況が生じるということは、脳が一生懸命自律神経を使って体温調節をしているということ。だから部屋は涼しくしないといけないのです」

 夏場は窓を開けっぱなしにしてタオルケットで寝るという女性も多いと思うが、「質のいい睡眠」のためには、年間を通じて「エアコン+羽毛布団」が最良の寝方なのだ。夏は、夏用の羽毛布団を使ったほうがいいのだろうか。

「羽毛布団で暑いと感じるのは部屋が暑い証拠なので、まずはエアコンで冷やす。つまり、わざわざ夏用に替える必要はなく、1年中同じ布団でいいのです」

 湿度などによって異なるが、脳にとって理想の室温は「24~25℃くらい」。今年の夏も猛暑になることが予測されているので、エアコンは1日中、適切に使うことが大切だ。

寝るときこそエアコンが必要
寝るときこそエアコンが必要

 寝間着については、「綿素材がベスト」とのこと。

「汗を吸って体温調整がしやすい綿素材のパジャマやTシャツがいいでしょう」

パジャマは綿素材 ©shutterstock
パジャマは綿素材 ©shutterstock

 自粛生活が続き、深酒をしている人の注意点は?

食事も飲み物も、質のいい睡眠のためには寝る3時間前までに済ませるのが理想です。と理想論を話しても、なかなか守れるものでもないとは思いますが……(苦笑)。アルコールは自律神経の中枢を麻痺させるので、寝落ちはするけれど睡眠のリズムはぐちゃぐちゃになります。アルコールの分解時に発生するアセトアルデヒドには覚醒作用があるため、変な時間に目が覚めて眠れなくなることも」

 ……耳が痛い話である。

 この先も続く、新型コロナウイルスとの共生生活。「新しい生活様式」に移行しながら、日頃の不摂生を見直す機会と前向きに捉えてみてはいかがだろうか。

週刊文春WOMAN vol.6 (2020夏号)

 

文藝春秋

2020年6月22日 発売