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『エール』唐沢寿明57歳に 高校中退「月給18万円」ショーパブバイトで客とケンカしていた20代

2020/06/03
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 きょう6月3日は、俳優の唐沢寿明の誕生日である。1963年生まれの57歳。最近では、NHKの連続テレビ小説『エール』で、主人公・古山裕一の父・三郎を演じている。裕一役の窪田正孝とはこれ以前にも、2015年にシリーズ第1作がつくられた刑事ドラマ『THE LAST COP』(翌年に連続ドラマ化)でタッグを組んでおり、プライベートでも親交があるという。今回も何かの力になれればいいと思い、出演を決めた部分もあるとか(※1)。『THE LAST COP』での共演について、唐沢は《窪田、苦労しただろうな。僕が、台本に書いてないアドリブばかり入れたからね(笑)》とのちに振り返っている(※2)。朝ドラには『とと姉ちゃん』(2016年)以来の出演だが、そのときも、個性派ぞろいの共演者から生っぽいリアクションを引き出そうと、アドリブをたくさん入れた。『エール』でも必要なときはアドリブをしているという(※3)。

映画「ラストコップ THE MOVIE」の舞台あいさつ。スタジャンのペアルックでポーズをとる唐沢寿明(左)と窪田正孝

『エール』で唐沢が演じる三郎は、作曲家をめざす裕一に応援を惜しまないものの、ちゃらんぽらんで頼りない。あげく家業の呉服屋の経営を傾かせ、裕一に迷惑をかけることになった。唐沢というと、ドラマ『白い巨塔』(2003年)の財前五郎などクールな人物を演じることも多いが、今回はそれとは対照的な役柄だ。どんな役にもなりきるという点で彼は、現在の日本の俳優では屈指の存在だろう。

唐沢が俳優になろうと思った日

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 唐沢が俳優になろうと初めて思ったのは小学生のころ、テレビの2時間ドラマで、橋爪功がすごくいやな役を演じているのを見て、泣くぐらいの勢いで怒ったのがきっかけだった。そのとき、演技で人をそんな気持ちにさせる俳優はすごいと思い、この職業に興味が湧いたという。高校1年のときには東映の養成所にある「東映アクションクラブ」に入り、レッスンを受け始める。撮影所に通いながら、大道具や照明の仕事を手伝ったり、エキストラをしたりするようにもなった。そのうちに高校は、勉強に意味が見出せず中退。時期を同じくして実家も飛び出してしまう。