政府は5月27日、二次補正予算を閣議決定した。安倍晋三首相は「空前絶後の規模」と強調し、二次補正まで含めた2020年度の一般会計の歳出は160兆円にのぼる。コロナ対策だけに大判振る舞いする政府に批判の声は上がりにくい。
だが、税制研究の第一人者の土居丈朗・慶應義塾大学教授が、警鐘を鳴らす。
「一般会計予算の推移をあらわす図を『ワニ口グラフ』と呼んでいます。歳出が上あご、税収が下あごにあたり、歳出の増加に税収が追いつかず、国の財政は『開いた口がふさがらない』状態にたとえられてきました」
口にあたる部分は赤字国債で概ね賄われてきた。
今年度予算のうち、90兆円は国債発行分。公債依存度は56.3%とリーマン・ショック直後の09年度を抜き過去最高となった。
「今回の補正で歳出総額は過去最高となり、上あごが突き抜けてワニの口の体をなさなくなったのです」
さらに財政赤字が拡大する恐れも。
「今年度の税収は63.5兆円と見込んでいますが、大きく落ち込んだ消費マインドや企業業績を考えると、見通し通りの税収があるとは到底思えません」
財政規律が崩れると何が起きるのか。