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連載ネット秘宝を探せ!

飼育員が虎に腕を食い千切られ…… “良い子は見ちゃダメ系”作品『タイガーキング』を体感せよ

2020/06/07
 

 今、全世界に衝撃と戦慄と失笑を与え、エンタメ界に旋風を巻き起こしている作品が、ネットフリックス『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』だ。

「トラ好きは、…クソだ!!」

 そんな証言から始まるこのドキュメンタリーの主人公は、米国・オクラホマで動物園を営む「ジョー・エキゾチック」というフザけた名前の男。

「麻薬中毒のイカれたゲイで、いつも銃を携帯していた」

 そんな彼を取り巻く人々との十数年に及ぶ確執の物語だ。

 冒頭、監督はナレーションで、「(企画から完成まで)5年も費やしてしまった。最悪だ」と後悔の念を漏らす。得体の知れない男ジョーに振り回され、虚実混沌とした底無し沼に引きずり込まれたのだろう。

 全7話で構成される本作は、刺激を求める現代の視聴者を以てしても、期待や想像を凌駕する衝撃展開の連続だ。

 同業者として驚かされたのは、この作品が異様に“撮れている”点だ。例えば、飼育員が虎に腕を食い千切られた直後の映像まで登場する。…って、なんで、そんな瞬間にカメラを回しているんだ!? 米国では一昔前から「リアリティー番組」が人気を博し、撮影隊が被写体と寝食を共にしながら、日常の一部始終を記録する手法が盛んだ。その流れを受け、この動物園でも撮影が行われていたという。

 もう一点、注目すべきは、ネットフリックスの巧みな戦略。新型コロナによる“巣ごもり視聴”のニーズに乗り、会員数は1500万人以上急増。有料会員数も2億人目前。映画会社が軒並み苦境にあえぐ中、市場規模で圧倒している。そんな映像コンテンツ業界の新たな王者(キング)の虎の子が、“良い子は見ちゃダメ系”作品『タイガーキング』なのだ。なんと、すでに6000万世帯以上が視聴したという。映像業界の王者になっても決して守りに入らず、反逆性を押し出すブランドイメージ戦略の一端が、本作からも垣間見える。

INFORMATION

『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』
https://www.netflix.com/jp/title/81115994

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