昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

JR原宿・新駅舎に降り立ち…… 明治神宮「百年の杜」に潜む、現代アートと出逢う

アートな土曜日

2020/06/06

 駅舎がリニューアルされたJR原宿駅に降り立ち、竹下通りなどがある繁華街とは反対方向へ歩く。そこに広がっているのは鬱蒼とした森林。明治神宮内苑である。

 今この神宮の杜を散策すると、次々とアートに出逢うことができる。神宮の杜野外彫刻展「天空海闊(てんくうかいかつ)」が開催されているのだ。

作品に神聖な雰囲気がまとわりつく

 今年は明治神宮の創建百年にあたるという。これを記念して「神宮の杜芸術祝祭」が企画され、その一環として杜の各所に彫刻が展示されることと相成った。

 原宿駅から南参道を歩んでいく。最初に遭遇するのは、周りの木々の緑を反射してキラキラ光る大きなオブジェ。松山智一による《Wheels of Fortune》だ。

松山智一《Wheels of Fortune》

 松山はニューヨークを拠点に活動しているアーティスト。街に巨大な壁画を出現させるプロジェクトなどで知られるが、今回は立体作品を木々の中に設置した。鏡面仕立ての作品は、車のホイールと動物のツノが合体したような不思議な形態だが、この状況で対面すると神聖な雰囲気が漂い出ているのを感じる。場所の清々しさと呼応しているゆえだろうか。

 すぐ近くに、もうひとつ作品が見えた。白銀に輝く大鹿の彫刻は、名和晃平の《White Deer(Meiji Jingu)》。鹿の剥製から3Dデータをとり制作されたもので、堂々たるツノを誇示した姿が凛々しい。杜の守り神としてずっとここに佇んできたかのような貫禄がある。

名和晃平《White Deer(Meiji Jingu)》