昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

愛知県豊田市で下校中に大けが なぜ被害者である姉妹が転校を余儀なくされたのか

小1女児は「つきたおされたのがどうがになって心の中で見ちゃう」

2020/06/15

加害者となった少年から話を聞くも、謝罪はなし

 翌日昼ごろ、母親は学校に報告をした。学校側は、加害者となったBから事情を聞くことになった。担任が話を聞くと、転倒させたのを認めた。押したのは、ランドセルであり、理由は「AがBにぶつかったからだ」と話した。話が本当であれば、帰宅途中に、Aが、BとCの間を駆け抜けたときに、ぶつかったということになる。Bは「(Aのランドセルを)強く押していない」とも話していたと、養護教諭と1年生の学年主任も確認した。

 Bの母親はA宅を訪問して謝罪した。ただし、B本人からの謝罪は「後日」となったが、「事件か事故かの認識の違いから決裂」したという(「市教委作成『いじめ重大事態』の経緯」2019年12月5日作成より)。

写真はイメージです ©iStock.com

 Aは翌週の月曜日まで欠席、火曜日から母親が送迎することになった。筆者の取材時には、Aが室内で動き回って遊んでいた。気にするほどの傷は確認できなかったが、「以前よりはよくなったんですが、止まって、近くで話すと気になります」と母親は言う。

 11月1日に、Aは左手首に痛みを訴えた。整形外科を受診すると、左手首が骨折していることがわかった。1週間ほど、骨折を放置していたことになるが、Aは痛みを感じても我慢していたのだろうか。母は給食の補助などに通った。

 11月11日、養護教諭が「一人の人間として話を聞くので、話をしませんか?」と言ってきた。母親は承諾し、学校の会議室で話をし、思いを吐き出すことができた。養護教諭に「(その思いを)校長先生だけには話してもいいかな」と聞かれ、「はい」と返事をした。

両親は「Bに近づけないで」とお願いをしていたが……

 11月12日、Aの両親が、(1)今回の事件を、いじめ防止対策推進法による重大事態として捉えてほしい、(2)今後も続く治療のこともみてもらいたい、(3)姉のCに影響がないようにしてほしい、との3点を要望した。

 翌13日、加害者のBの両親は、学校を訪問した。Bが通学班を外れることを受け入れた。そしてA宅へ行き、母親に謝罪したが、「いまさら来られても遅い」と被害者の両親は伝えた。話し合いの中で、Aへの配慮がないことが一因だった。

 Aの母親は「受けた被害は、いじめ防止対策推進法における重大事態にあてはまると思います。しっかり対応してほしい」とBの両親に伝えた。

写真はイメージです ©iStock.com

 翌14日には、校内で学芸会が開かれた。しかし、Cの近くに、Bが座っており、そこでも配慮がなかった。この頃、両親は「Bに近づけないで」と校長にお願いをしていた。担任にそのことを告げると、「私たちのところに情報が降りてきていない」との返答だった。親の要望を校長に伝えていたのに、担任には伝わっていないということなのか。

 この件について、母親が校長に事情を聞くと、「すみませんでした。全職員で共有します」と話した。配慮が必要なことだけに、あまりにも杜撰な対応である。