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愛知県豊田市で下校中に大けが なぜ被害者である姉妹が転校を余儀なくされたのか

小1女児は「つきたおされたのがどうがになって心の中で見ちゃう」

2020/06/15

 一方、気になることもあった。

「数日後、学校が加害者の家に連絡をしたようです。すると、加害者宅に住んでいるBの祖母と思われる女性が、毎朝、ずっとこっちを見るようになりました。そのことが一定期間続いたので、嫌な気持ちになりました。Cは集団登校できなくなり、(近いのに、私が)車で送迎するようになりました。校長に聞くと、『(加害者の両親に)言いました。正確には、メモを見ないとわからない』と言っていたんです」

写真はイメージです ©iStock.com

児童福祉法による「触法少年」

 その後、Aは「気持ち悪い」と言い出し、頭が痛いと訴えるようになったという。「いまでも、PTSDの症状で通院しています」と母親は語る。

 斎藤教授はこう指摘する。

「謝罪の有無以上に、学校の対応が不誠実です。子どもたちを保護すべき教師たちが、加害者の肩を持つ対応をしたんです。加害児童にも謝罪をさせない。これは、加害者側に立った対応と思われても仕方がない。非常に、安全、安心を脅かす対応です。PTSDがこじれても不思議ではない。加害児童の直接の謝罪はあるべきです。謝罪と処罰は絶対必要なのです。しなかったのは間違いとしか言いようがない」

 12月7日。豊田署に被害届を出した。あとになって、弁護士照会で入手した資料によると、Bは、Aに対して全治6週間の左手首骨折と、全治3週間の永久歯の怪我を追わせたとして、児童福祉法による「触法少年」として扱われたという。

「この件に関しては、市の条例に基づいて、個人情報の開示請求をしました。すると、学校が作成した報告書はないということで、開示されませんでした。学校の対応はあまりにおかしいと思いました」

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被害児童の発言は『校長先生が許可しない』

 冬休み明けの2019年1月、Aは「自分がされたことを言いたい」と言い出し、通学のグループで発言しようとした。通学のグループでは、月1回、話し合う場を設けている。そこでは、自分の気持ちを自由に言える。

「しかし、先生に止められたんです。『校長先生が許可しない』と。親としては、このことを言えるようになれば、心が強くなるかもしれないと思ったんです。しかし、校長は、『誰かのやった悪いことを知らしめることになるから』と言いました。当時は、まだ学校を信じていたので、何をするにも、事前に一報を入れていたんです。それに、見張るかのように、会合のある教室に、教頭がいました」

 1月25日、加害児童Bが、警察に出向いた。翌日、少年課から電話があり、「厳重注意にした」との連絡だった。学校に報告すると、学校は何もすることがないと話すだけ。

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 いじめかどうかについては、「継続されているわけではない」「突発的なもの」として、静観することになった。いじめ防止対策推進法では、それらは問われない。また、いじめによって、怪我をすれば、重大事態に認定できる。

 学校は、「加害児童(B)は、『謝りたい』という気持ちは持っている」と、Aの両親に説明をしているが、納得しない。

「その気持ちが本当であれば、手紙を書く、などの対応はいくらでもあるはずです。教師が、その方法を考えられないということはないのではないでしょうか。本当に、適切な指導がされているのか、調査委員会を開いて、知りたいのです」