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都庁に中国系テレビ局を招き入れ……“女帝”小池百合子が、コロナ禍に隠れてやっていたこと

最優先に考えていたのはコロナ対策でも、都民の健康でもなかった

〈暗い深淵から出て来たか、明るい星から生れたか?/ぞっこん惚れた『宿命』が小犬のように後を追う〉(ボードレール・堀口大學訳『悪の華』)

 5月末の発売以来、全国の書店でベストセラー1位を続ける『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋)は、発売わずか2週間で10万部を記録した。小池百合子東京都知事の半生に、3年半にわたる緻密な取材で迫ったこの本は、この有名な詩の一節からはじまる。

小池百合子氏 ©共同通信社

「芦屋令嬢」「カイロ大学首席卒業」を名刺代わりに

 彼女は、決して明るい星に生まれた人ではない。むしろ暗い深淵から出てきたような人だ。その「宿命」に抗いながら華やかな舞台を駆け上がってきた。名刺代わりに繰り出した「芦屋令嬢」や「カイロ大学首席卒業」も、彼女が自分の宿命に抗うための術だったかもしれない。だが、心に重たくぶら下がる「宿命」はどこまでも彼女に付きまとう。キャスターに抜擢されても、都知事に当選してからも……。

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『女帝 小池百合子』から浮かび上がるのは、小池都知事が表舞台では隠し続けてきた、彼女の本当の姿だ。

『女帝 小池百合子』(文藝春秋)

 この本の土台の1つとなっているのは、石井氏が「文藝春秋」2018年7月号に書いた「小池百合子『虚飾の履歴書』」だ。この記事で積年の思いを石井氏に打ち明けたのが、エジプト留学時代に小池都知事と同居していた早川玲子さん(仮名)だった。『女帝 小池百合子』にも登場し、重大な証言をしている。

元同居人は怯えていた

 早川さんは、小池氏が防衛大臣になり、都知事になるにつれ、小池都知事の影に怯えるようになる。それはなぜなのか。『女帝 小池百合子』を読むとよくわかる。