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「さくらんぼ狩り全キャンセル」でも山形の観光農園が元気なワケ

もうひとつは、従業員の働き方改革の推進である。昨今、2つの仕事を掛け持つ“ダブルワーク”が注目されているが、地方ならではの風習で、なかなか副業に対する考え方を理解してもらうことができなかった。

「地方だから収入は少ないのが当たり前と思う人も多く、本業以外の経験を積むことができない状況が打破できればと思っていました。最終的に本業に生きる副業は、会社や個人にとってかけがえのない財産になるということを知ってもらいたくて、両者の課題が解決できる今回のような取り組みは、ぜひ、やってみたいと思ったんです」(鈴木さん)

休業中の従業員を受け入れた王将果樹園側も、考えは同じだ。

「さくらんぼ狩りのシーズンだけではなく、その前の4月や5月もリンゴやラ・フランス、ぶどうの管理作業で農家は忙しいんです。この時期だけでも、天童温泉の宿泊施設で働いているスタッフに手伝ってもらえれば、本当にありがたいです」(矢萩さん)

都心部ではコロナ禍をきっかけに、テレワークや在宅勤務が活発に行われている。それと同じように、働き方改革の急激な変化は地方都市にも波及しており、仕事のスタイルに大きな変化が生まれようとしている。

さくらんぼと一緒に「収穫の風景」が届く

収穫したさくらんぼは、王将果樹園のネットショップDMC天童温泉の通販サイト、天童市のふるさと納税返礼品の3つの販路から一般消費者の元に届けられる。

「DMC天童温泉では3年前から『朝摘みさくらんぼ狩りツアー』という企画を実施していて、毎年、400名以上のお客さまが参加しています。しかし、今年はツアーが催行中止となってしまい、残念な思いをした人も多かったんです。ネット通販で朝摘みのさくらんぼを、少しでも多くのお客さまのご自宅まで届けることができればと思っています」(鈴木さん)

さくらんぼに同封した案内チラシにはQRコードをつけて、天童温泉の従業員たちが果樹園で収穫している風景を動画で見られるようにするという。SNSでも収穫風景の写真や動画を発信して、さくらんぼのネット通販で売上増を狙う。