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「さくらんぼ狩り全キャンセル」でも山形の観光農園が元気なワケ

「ネット通販事業は、今まで宿泊業界でもあまり注目されている事業ではありませんでした。しかし、これをきっかけに、ぶどうや桃、ラ・フランスなどの通販もできるようになれば、DMC天童温泉にとっても新たな収入源の確保につながり、さらに天童温泉の魅力を発信することができるようになります」(鈴木さん)

天童温泉で使える「割引券」が入っている

DMC天童温泉のさくらんぼのネット通販には、もうひとつの秘策が込められている。

「お届けするさくらんぼには、天童温泉の各宿泊施設で使える宿泊割引券を同封します。さくらんぼが届いて、従業員が頑張って収穫を手伝っている姿を動画で見てくれれば、天童温泉に行ってみたいという思いが高まってくれるのではないかと思っています。今は外出を控えている時期ですが、やがて世間に旅行解禁のムードが訪れた時に、真っ先に天童温泉に来てもらえればうれしいですね」(鈴木さん)

ネット通販で買ったさくらんぼに、宿泊割引券が入っていれば、購入者がコロナ禍収束後に天童温泉に来てくれる可能性は高い。一度は天童温泉にさくらんぼ狩りを目当てに泊まりに来た“優良顧客”であれば、宿泊割引券の利用率も高いはずだ。

コロナ禍が観光業に与えた打撃は計り知れない。しかし、宿泊施設や農業の働き方改革を加速させて、SNSやネット通販を駆使して、宿泊施設の集客戦略を強化する動きは、明らかに今までの観光業界にはなかったアクションと言える。

まだまだ先が見えない状況が続くが、天童温泉の今回の取り組みが、全国各地の観光地の新しいモデルになれば、コロナ禍を機に日本の観光業は大きく変わっていくかもしれない。

竹内 謙礼(たけうち・けんれい)
有限会社いろは代表取締役
大企業、中小企業問わず、販促戦略立案、新規事業、起業アドバイスを行う経営コンサルタント。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)ほか多数。

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