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大切なのは技術より根性……“宝塚受験のカリスマ”が語る「湖月わたる、柚希礼音が原石だったころ」

 5月29日、宝塚歌劇団の歴代トップスター19人がファンに感謝と笑顔を届けたいと、名曲「青い星の上で」をリモート合唱し、YouTubeで公開。多くのヅカファンを感動させた。

 呼びかけたのは元星組トップで「10年に一人の逸材」と称された柚希礼音(ゆずきれおん)(41)。その彼女を含め、これまでに180人以上のタカラジェンヌを育ててきたのが“宝塚受験教室のカリスマ”川路真瑳(まさ)先生(78)だ。

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 自身も宝塚の男役として9年間舞台に立った川路先生は、退団した1971年に「川路真瑳バレエスタジオ」を開設。湖月(こづき)わたる、大空祐飛(現ゆうひ)、柚希礼音、珠城(たまき)りょうなど錚々たるトップを輩出した。

 今年2月には受験の心得や宝塚時代の思い出を綴った「宝塚受験 世界にひとつしかない夢」(左右社)を出版した。

「のびのびしていて明るく素直な子がいい。へそ曲がりや表裏のある子はダメ。やっぱり“清く正しく美しく”に当てはまる人ね」

 そう朗らかに笑う川路先生は、「長くたくさんの方とお会いしてきたからなのか、いい子は最初にパッと見た時に分かるんです。魅力的だな、いい子だな、と思った子はやっぱり入学し、トップスターになる子もいますね」と語る。

ミュージカルを中心に活躍中の湖月

 特に思い出深いのが、2003年に星組トップに就任した湖月わたる(48)。原石の頃はとにかく負けん気が強かったという。

「教室には13歳くらいから片道2時間半かけて通っていました。その吸い込まれるような目力に、『絶対に宝塚に入りたい』という根性が見えましたね。最初は体がバリバリに硬くて、バーレッスンをしても脚を上げられなかったんです。でも、勘が良くて努力家だから上達は速かった。

 宝塚はね、白紙の子をキチンと育てたいの。大切なのは技術よりも性根。『長くバレエをやってきました』と言う人でも、計算高くて心根の悪い人は態度や顔に出ちゃう。わたるは人のことを思いやる心の持ち主で、なにしろ明るかった!」