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GUは全店舗撤退、ABCマートや「あつ森」の任天堂は善戦……日本不買運動から1年、韓国のリアル

2020/07/03
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 金曜日の夕方、クラフトビールを出す店の前に空席待ちの列が。

「最近は会食でもクラフトビールがあるところばかり行きたがる」

 50代と覚しき夫婦がそんな話をしながら、そばを通り過ぎていく。

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 韓国では最近、クラフトビールが爆発的なブーム。昨年7月まで日本産ビールが占めていたシェアを、クラフトビールが奪っているという。

©︎iStock.com

不買運動は「輸出管理」をきっかけに始まった

 昨年7月1日、韓国に対する日本の「輸出管理」をきっかけに始まった日本製品不買運動から1年。あれから何が変わって、何が変わらなかったのか。

「ビールはマイナス88%、車も半分に……ボイコットジャパン1年め、現在進行形」(中央日報、6月27日)、「ファッション、ビール、ノージャパンはブーメラン。好調だった車もふらふら」(京郷新聞、6月30日)

 メディアは保守、進歩系問わず、1年間の不買運動の結果、韓国における日本製品のシェアが激減したと報じた。

 韓国で日本産ビールの人気は絶大だった。不買運動前までの10年間ほどはアサヒ、キリン、サッポロは輸入ビールの販売量で常に10位圏内を走っていた。ところが、日本産ビールはいまや大手スーパーでも棚の隅に追いやられ、姿を消したものも。韓国の関税庁によると、輸入額は昨年対比で87.8%(4月基準)減少したと報告された。経済誌の記者は言う。

「日本はほかでもない、半導体の部品の輸出規制という、韓国にとっては経済の根幹にも関わる急所を突きました。これは外交と経済を同じ次元にするのかと一般の人からも怒りを買った。当時は、半ば本気で韓国経済が落ち込んでしまうのではないかとみな憂慮していましたから。

 消費財の不買運動なんて正直、ナンセンス。それでも、これだけ広まったのは、不買を通り越して、ふだん使っていた製品にも代わりのものがあることにみな気づいてしまったからですよ」