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新薬開発にも影響か…コロナ禍で「予期せぬ大幅減益」となった製薬会社はどこ?

“インフル患者6割減”の衝撃

 新型コロナウイルスの感染拡大が引き起こした経済への影響は深刻だ。主要各社が発表した今年度の3月期決算は、大幅な減収減益を余儀なくされた。「文藝春秋」7月号では、「『3月期決算』こんなに傷んだ」と題して、「自動車」「航空」「鉄道」「化粧品」など、特にコロナの影響が大きかった業界11種について現状と今後の見通しを分析している。

 今回はそのうち「製薬業界」を追ったパートを全文公開する。

“患者数6割減”が痛手に

 治療薬やワクチンの開発など新型コロナとの戦いで最前線に立つ製薬業界。しかし直近(5月末時点)、マイナスの影響が意外な形で現れている。

塩野義製薬の手代木功社長 ©AFLO

 ひとつは手洗いなど感染対策の浸透もありインフルエンザの流行が小規模に終わったことだ。厚労省の調査によれば、前シーズンに比べ推計患者数は6割も少なかった。

 最も影響を受けたのは塩野義製薬(手代木功社長)だ。20年3月期、当初は伸びを見込んでいた抗インフル薬「ゾフルーザ」が急失速。薬剤耐性にまつわる懸念も痛手だった。終わってみれば、販売額がその前の期に比べ60分の1以下のわずか4億円にとどまるという誤算ぶりだ。

 同様にスイス・ロシュの傘下にある中外製薬(小坂達朗CEO)もインフル治療の定番薬「タミフル」が足下で大きな落ち込みを見せた。昨年1~3月期に79億円あった販売額は今年の同じ期に32億円と6割減だ。第一三共(眞鍋淳社長)の「イナビル」は前期実績こそクリアしたが20年3月期は当初計画から1割近い未達に終わった。

中外製薬 ©AFLO

塩野義製薬は売上高・純利益とも約8%減

 がん領域を主力とする中外製薬や、血液凝固を防ぐ薬や高血圧薬などが柱の第一三共はインフル薬の誤算を全体で吸収できるからまだいい。塩野義の場合、ゾフルーザは全体の売り上げの7%ほどを占めていたから、その不発が足を引っ張り20年3月期は売上高、純利益とも8%前後の減少となってしまった。