文春オンライン

東京都民、公約をひとつも実現しなかった「女帝」を選ぶファインプレー

小池百合子さんの国政進出の踏み台にされる都民に真のマゾの姿を見た

2020/07/09
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 7月5日に投開票が行われた東京都知事選は、現職の小池百合子さんの圧勝で終わってしまいました。

 文藝春秋から『女帝 小池百合子』が刊行されてベストセラーになった割には、そのようなことはお構いなく小池百合子さんを選んだ東京都民の民意が示された瞬間でございます。

約366万票を得て、次点に280万票以上の大差をつけて再選を果たした小池百合子都知事 ©AFLO

「7つのゼロ」の公約は都民のほとんどが実現できていないと判定

 もちろん、私もひとりの東京都民として、悩み、困り、悶え苦しんだ選挙でございました。主要候補の、誰にも投票したくない。宇都宮健児さん? 山本太郎さん? 小野泰輔さん? いやいやいやいや、さすがに厳しいでしょう。消去法の結果、まあ現職の小池さんでいいやと思って投じた東京都民も多かったのではないかと思います。

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 数字を見返してみますと、小池百合子さんが勝った理由は単純に「コロナウイルスが流行して、メディアで頑張ってそうな雰囲気で目立ったから」と「対抗候補にろくなのがいなくて、支持が集まらなかったから」に他なりません。みんな不安を煽られたコロナ対策と、ふがいない与党野党が候補者選びで右往左往したから女帝が再選してしまったんですよ。都知事選50億円ガチャにハズレしかいないと評されるのは、この「誰にも投票したくない」という罰ゲーム感が際立つからだと思うのですね。

各陣営の候補者は、有力な対抗馬とならなかった ©AFLO

 NHK世論調査の数字を見てみると、今回都知事選で実施された都民1万人アンケートの結果が目を惹きます。

 生活水準に7割の東京都民が満足していて、みんな楽しそうだなと思います。そりゃ1,400万人にまで都民が膨らむのも、仕事があり享楽的な環境があって、交通が便利だからでしょう。都政改革とは別に大きな変革を都政には求めていない状況があったうえで、発信力が高い現職の小池さんを選んだというのが、今回の都知事選で見せた都民の総意でした。しかしながら、その小池さんが2016年に当選したときの公約については惨憺たるもので、掲げた「7つのゼロ」の公約は都民のほとんどが実現できていない、と判定しています。

都民1万人アンケート(NHK)
https://www.nhk.or.jp/senkyo/opinion-polls/02/