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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

捜査当局は怒り心頭「海底で骨片発見」新聞各紙の“フライング”報道

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #17

2020/07/28

genre : ニュース, 社会

 2002年7月31日に福岡地裁小倉支部で開かれた、松永太と緒方純子を被告とする第2回公判が終わったことで、この事件を取材する記者たちの関心は、捜査本部がこれから誰に対する殺人容疑での再逮捕を行うかということに向けられた。

 そこで有力視されていたのが、監禁被害者の少女・広田清美さん(仮名)の父・広田由紀夫さん(仮名)と、緒方のめい(妹の長女)の緒方花奈ちゃん(仮名)だった。

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図

「海底で骨片発見」殺人容疑の新聞記事

 福岡県警はすでに同年3月15日に由紀夫さんに対する殺人容疑で、また同5月9日から19日まで花奈ちゃんへの殺人容疑で、北九州市小倉北区の『片野マンション』(仮名)を家宅捜索している。そうしたことから、両者のうちどちらかへの殺人容疑で、逮捕状が請求されるのではないかと見られていた。

 メディアによる水面下での攻防が続くなか、状況が大きく動いたのは9月2日から3日にかけてのことだ。まず2日に共同通信が、松永と緒方がめい(花奈ちゃん)殺害で立件へという第一報を配信した。そして翌3日の朝刊で、西日本新聞と毎日新聞(西部本社版)が次のような見出しの記事を出したのである。

〈小倉の少女監禁 殺人容疑 2被告逮捕へ 海底で骨片発見 県警 父か被告のめい?〉(西日本新聞9月3日朝刊)

西日本新聞2002年9月3日朝刊

 これは、捜査本部が由紀夫さん(当時34)と花奈ちゃん(当時10)が殺害されたとの疑惑に関して、松永と緒方を同月中旬にも殺人容疑で再逮捕する方針を固めたとの記事で、〈少女(※筆者注:清美さん)の供述に基づき大分県国東半島沖の海底を捜索、人骨とみられる骨片などを押収しており、こうした間接証拠の積み重ねによって殺人容疑を立件する方針で、「遺体なき殺人事件」は三月七日の監禁事件発覚から半年で大きく動き出す〉(同記事より)とある。この記事では、清美さんの供述を裏付けるため、〈七月下旬から八月上旬にかけて少女が緒方被告とともに乗船したという大分県国東半島にあるフェリーふ頭近くの海底を捜索。捜索は少なくとも三回行われ、海底から人骨とみられる骨片など多数を発見、押収した〉(同)と書かれていた。