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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/07/28

genre : ニュース, 社会

「テレビは一過性で、新聞は永久に残る」

記者「少女との信頼関係とありますが、いずれ父親の名前は公判で出るよといったことを、きちんと説明したうえでの信頼関係なのではないのですか? 41歳女性(※監禁致傷罪などの被害者である原武裕子さん=仮名)のときは、捜査員は『マスコミが必ず来るし、公判もあります』とかなり説得を行ったうえで、事件化していると聞いていますが」

地検「捜査員レベルの話はそこまで具体的に聞いていません。どうも、少女はその日その日で対応が違うことがあると聞いています。捜査側はあくまで少女に話をしてもらうというのを積み重ねてきたのが、一気に崩れることもあるわけで……」

記者「これまで週刊誌やテレビでは(父親の)名前はともかく、顔写真は出ていますが」

※写真はイメージ ©iStock.com

地検「こう言ってはなんですが、テレビは一過性で……、新聞は永久に残るので……。現段階では、父親の立件のときはどうなるかは、僕もなんとも言い難いですが、もし許せるなら、これまで通り“父親”としてほしい気がします。いま、私の頭のなかには、花奈ちゃんの事件をどうするかでいっぱいで、父親の事件のことまでは考えていないので」

少女の証言は非常に重要

記者「41歳女性のとき、県警が(実名報道を控えてほしいとの)広報文を配信しました。警察からなんらかの連絡はなかったのですか?」

地検「まあ、推測ですが、そう言われると報告があったのかもしれませんが」

記者「地検本庁から連絡は?」

地検「いや、それはない。神に誓って」

記者「ではあくまで地検小倉支部の独自判断だと?」

地検「そうですね。朝刊で流れたので、夕刊で各社ザーッと流れるといっそう困るので、本日午前のうちにとなったんです」

記者「少女は出廷を拒否したりはしませんか? 18歳になっているから、もうどこへ行こうも自由ですよね。証人尋問を拒否したりとか?」

地検「まあ、行くというのを無理やり止めることはできないのですが、ゆくゆく拒否されると良くはない。私個人の思いとしても、今度の事件はどうにかきちんと最後まで立件したいという思いがあります。あくまでお願いですから……」

※写真はイメージ ©iStock.com

 以上で散会となったのだが、この段階での捜査が、いかに少女の証言頼みであるかが窺えるエピソードである。