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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/07/28

genre : ニュース, 社会

 次の殺人での再逮捕が誰へのものになるのか、記者たちの関心が高まりつつあるなかで、ここまで踏み込んだ記事が出たことは驚きだった。だが、“フライング”ともいえるこの記事は、当然ながら捜査幹部の強い反発を招いた。ある捜査員は語っている。

「幹部は激怒して、『俺はまだなにも決めてない。決裁もしてないぞ。意地でも“おい”でやらないからな』と言っている。だから次はおいではなく、緒方の父である孝(仮名)でやる可能性が大きい。少女はおいと同じく、孝への虐待の一部を目撃しているから」

※写真はイメージ ©iStock.com

 当時、殺意の認定が困難で、“殺人”ではなく“傷害致死”でしか立件できない可能性のある少女の父・由紀夫さんの事件については、逮捕を急がず、捜査にさらに時間をかけることになっていた。そこで、次の再逮捕の候補として、少女が虐待を目撃しており、“殺人”での立件が可能な、緒方のおい・佑介くんと、父・孝さんの名前が浮上していたのである。実際、その後はこの捜査員の言葉通りの展開となるのだが、それについては後述する。

花奈ちゃん事件の起訴状

 10月8日、福岡地検小倉支部は、花奈ちゃん事件で松永と緒方を起訴した。起訴状に書かれた公訴事実は以下の通りだ。

〈被告人両名は、共謀の上、平成10年6月7日ころ、北九州市小倉北区片野×丁目『片野マンション』(仮名)30×号室において、緒方花奈(当時10年)に対し、殺意をもって、同児を仰向けにしてその両手両足をすの子に帯状のひもで縛り付けた上、電気コードの電線に装着した金属製クリップで同児の身体を挟み、同電気コードの差込プラグと、電圧100ボルト、電流30アンペアの家庭用交流電源に差し込んだ延長コードの差込口とを接続して同児の身体に通電させ、よって、そのころ同所において、同児を電撃死させて殺害したものである。

 罪名及び罰条

 殺人 刑法199条、第60条〉

 なお、後の裁判において、花奈ちゃんの死因について、この起訴状の内容とは若干異なる判断が下されていることを付記しておく。とはいえ、10歳の女児に対してまで、松永と緒方が残酷な虐待を行っていたことは、世間に大きな衝撃を与えた。だがそれはまだ、彼らの悪辣な犯行が明らかになる“とば口”に過ぎなかったのである。

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