東京都が、公益財団法人東京都環境公社の澤章理事長(61)に対して、7月末での退任を求めていたことが「週刊文春」の取材で分かった。小池百合子知事の再選から5日経った7月10日に退任を要求しており、知事による事実上の更迭と見られる。
澤氏は東京都中央卸売市場の元ナンバー2で、昨年に都庁を退職して、都の監理団体である東京都環境公社の理事長に就任。今年3月には、豊洲市場への移転の内幕を描いた『築地と豊洲』(都政新報社)を出版した。
「市場の移転問題をめぐる小池都知事の迷走ぶりを“内部告発”する内容です。都知事の肉声を交えながら克明に綴っており、都庁職員の間でも話題となっています」(都政担当記者)
都のOBは65歳まで関連団体で働くのが通例だが、理事長になってまだ1年で61歳の澤氏が、なぜ“クビ”を言い渡されたのか。
澤氏が当日の様子を語る。
「部屋には人事担当の多羅尾光睦副知事と人事部長、課長の3人がいました。副知事に公社理事長として問題があったのかと聞くと『そうではない』。言論活動に問題があったかと聞くと『それも違う』と」
副知事は、澤氏に解雇理由は何かと問われると、
「社会的常識を逸脱した行動が目に余る」
また誰が人事を決めたのかについては
「私一人で決められるわけはない。都としての決定だ」
と説明したという。
辞令は通常2、3分で終わるが、澤氏と副知事のやりとりは1時間に及んだ。
澤氏が振り返る。
「私のなかで、(著書の出版で)都の役人が多少窮屈になること、都民に真実を伝えることを天秤にかけた時、出版しないという選択肢はありませんでした。そのうち切られるとは思っていましたが、結構早かった。見せしめの面もあったのでしょう」
誰が澤氏の退任を決めたのか。多羅尾副知事に小誌が「小池氏が気に入らなかったからか」と聞くと、
「私一人で決めるわけではない。都として決めたことですから」
と答えるのみだった。
7月16日(木)発売の「週刊文春」では、澤氏と多羅尾副知事のやりとり、今年夏に行われた重大な異動などを詳報する。

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