検事総長人事にも波及した前代未聞の身内の不祥事に、検察組織が出した結論は“大甘”なものだった。
コロナ禍の緊急事態宣言中に賭けマージャンをしていたという「週刊文春」(5月28日号)報道を受け、東京高検検事長を辞任した黒川弘務氏(63)。その後、常習賭博、単純賭博、収賄容疑で刑事告発されたが、東京地検は7月10日、単純賭博について犯罪行為を認めた上で罪に問わない「起訴猶予」とした。
司法記者が解説する。
「地検は黒川氏らが4月13日~5月13日に計4回、新聞記者ら3人と、1000点を100円に換算する『テンピン』のレートで賭けマージャンをしたことについて、賭博罪は成立すると判断。しかし、『賭け金は多額ではない』『処分を受けて辞職している』などとして不起訴にした。通常、検察は不起訴理由を詳しく説明しないが、今回はわざわざ記者会見を開いて不十分ながら説明をしました。こうした対応は、森友問題で佐川宣寿・元国税庁長官らを不起訴にした時以来で、後ろめたさがあったのでしょう」
不起訴が報じられると、「検察幹部の犯罪なのに、悪質性が低いわけがない」「テンピンを不起訴にするなら、違法な賭けマージャンを堂々とできてしまう」などの非難の声が上がった。
法曹関係者は「黒川氏は約3年前から月1~2回、賭けマージャンをしていたと認定されており、その常習性からも略式起訴して罰金刑という選択もあった。それをしなかったのは、黒川氏が今後、弁護士登録がしやすくなるよう、前科をつけないようにしたと思われても仕方がない」と話す。