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吉村知事は“二股” 野党と与党の間の「ゆ党」 維新の迷い

コロナ禍で知名度を上げた

 大阪府の吉村洋文知事(45)は7月14日、コロナ対策の要望のため、首相官邸を訪れた。安倍晋三首相は「コロナ対策で力強いリーダーシップを発揮していて、敬意を表したい」と持ち上げ、日本維新の会副代表でもある吉村氏は「憲法改正の国民投票を、ぜひ安倍総理の時代で実現して下さい」とエールを送った。その場には菅義偉官房長官も。「トップ2人での対応は、維新と官邸の蜜月関係を表している」(政治部記者)。

 吉村氏は翌15日、国民民主党の前原誠司元外相と維新の馬場伸幸幹事長らが主催する勉強会で講演。維新が進める大阪都構想の住民投票に触れ、「統治機構を変えることは命がけだ」と熱弁を振るった。官邸で頭を下げたかと思えば、国民民主の議員も参加する勉強会で講演する――。相矛盾するような行動は「『ポスト安倍』時代に維新がどう自画像を描くか、深い悩みを象徴していた」(前出・記者)。

「是々非々」を標榜する維新は、安倍政権と全面対立する立憲民主党など主要野党とは一線を画し、自民と歩調を合わせることも多い。野党と与党の間の「ゆ党」と言われ、次の衆院選で自民、公明が議席を減らせば「自公維連立政権」とも囁かれる。

 だが、本拠地の大阪では自民党府連と激しく対立。良好な関係を築いているのは官邸ナンバー1、2の安倍、菅両氏で、自民党ではない。「安倍政権が終われば自民との関係も変わる。このまま『ゆ党』でいくのか、立ち位置を変えるべきか。目端の利く維新幹部は気付いている」(同前)。「ポスト安倍」時代に向けて、主要野党側とも水面下で関係を築く幹部もおり、密かに選挙での候補者調整をしたケースもあるという。

「大阪の党」からの脱皮も、新たな自画像探しの一環だ。次の衆院選では、党の創設者で知名度の高い橋下徹・元大阪市長を東京1区から擁立する案もあれば、東京都知事選で推薦した小野泰輔氏を東京のどこかで立候補させるプランもある。

 都知事選や同時に行われた都議補選を分析すると、維新の伸長は著しい。都知事選で港区などの都心では、小野氏が立憲や共産が推した宇都宮健児氏を抑え、小池百合子知事に次ぐ2位に食い込んだ。大田区の都議補選でも維新候補は立憲候補を抑え、次点だった。政治部デスクは「安倍政権に呆れているが主要野党にも期待しない無党派層が流れた。今後維新がさらに大きくなるには、東京などの都会に進出して自民を食うしかない」と解説する。

 だが、大阪市長の松井一郎代表は周囲に「疲れた。秋の住民投票だけで手いっぱいや」と吐露。新たな自画像の模索はしばらく続きそうだ。

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