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「自分はなんて駄目なんだろう」 三浦春馬さんが語っていた“劣等感”と“将来像”

2020/07/21

 7月18日、俳優の三浦春馬さんが亡くなった。30歳だった。所属事務所は20日、公式サイトで葬儀が密葬で行われたことを発表し、「中学生の頃から16年という長きにわたって共に夢を語り、歩んできた大切な仲間のあまりにも突然の訃報に接し、弊社所属アーティスト、スタッフ共に、悲しみという感情を超えて茫然自失としており、悔やんでも悔やみきれないという思いです」と綴っている。

 2年前、三浦さんを2日間にわたって取材した編集者でライターの門間雄介さんが、三浦さんの言葉を振り返る。

三浦春馬さん ©文藝春秋

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 きれいな言葉で自分の気持ちや考えを表現する人だと思った。

「うれしいです、そう言っていただけると。身近にきれいな言葉を使う人が多かったのがよかったのかなと思います。この人のように話したいなとか、この人のような語彙があったらなとか、そう思わせてくれる人たちが何人もいましたから、先輩にも友だちにも」

 なおかつ彼は謙虚で、周囲への感謝や気遣いを忘れなかった。

彼が語った、劣等感に苛まれ、卑屈になっていた過去

 これは2020年7月18日に亡くなった三浦春馬さんを、2日間にわたって取材した時の彼の様子だ。2018年11月、「週刊文春」の人物ドキュメント「男の肖像」という企画(2018年12月13日号掲載)のために、映画『こんな夜更けにバナナかよ』の公開を目前に控えた彼に話を聞いた。

 筋ジストロフィー患者の鹿野靖明さんとそのボランティアたちとの実話を映画化したこの作品で、彼はボランティアの医大生を演じていた。医師を目指しながら、不甲斐ない現実の自分に苛立ちを覚えるこの役柄を、彼は自らの内面を深く掘りさげて作りあげた。

©文藝春秋

「理想の自分と現実の自分との間にある混沌としたものをどう表現したらいいのか。そう考えた時、かつての自分のこと、あの頃の感情とか状況とかを思い返して、引っ張り上げるという作業をすごく丁寧にしたと思います。自分はなんて駄目なんだろうって、悔しい思いをした経験はきっと皆さんにもありますよね」

 そう言って彼は劣等感に苛まれ、卑屈になっていた過去の日々について話してくれた。