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コロナ禍で追い詰められる医療従事者の実態「看護師だって人間なんです」

私が『お別れホスピタル』で「コロナ特別編」を描いた理由

2020/07/24

 大ヒット作『透明なゆりかご』で知られる漫画家・沖田×華氏が、「週刊スピリッツ」にて月1連載中の病院マンガ『お別れホスピタル』。回復が見込めず、死が間近に迫る患者が入院する“終末期病棟(ターミナル)”で働く看護師たちを描く同作。陰ではゴミ捨て場と呼ばれるこの病棟で様々な患者の死を看取っていく。

 先日、コロナ禍で揺れる病院現場をリアルに描いた「コロナ特別編」(マンガはこちらから)が雑誌掲載された。病院クラスター、連日車中泊、看護師への偏見や差別、コロナ離婚……過酷な状況に追いやられた看護師たちが登場する、この特別編を執筆した動機を沖田氏に聞いた。

沖田×華氏

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病院勤務から帰宅したら義母に殺虫剤を振りかけられた

 看護師の大量離職がニュースとなってましたが、こうなることは正直分かりきってたんじゃないかなと思いました。『お別れホスピタル』では現役の看護師の方々に取材協力してもらって、作品を執筆していますが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって病院がどんなふうに大変なことになったか、いろんな話が耳に入ってきました。

『お別れホスピタル』(沖田×華 著)

 ひどいなと思った話は、たくさんあります。お母さんが看護師だということで、子供を一緒に遊ばせないというママ友がいたという話や、病院勤務から帰宅したら義母に殺虫剤を振りかけられたという看護師の話……。コロナに対して感じている見えなくて怖いという不安を、看護師という目に見えるモノに投影して、それを排除することで安心しようとする人たちの気持ちに、うすら寒いものを感じます。

 作中に登場するコロナが原因で離婚の危機に陥っているナースも、実在します。コロナで失職した夫が家で子供の面倒を見ていて、「お前は子育てをコロナで逃げられていいよな」などの言葉を浴びせられたというのも、本当の話です。

『お別れホスピタル』コロナ特別編より

 
 病院で働いている医療従事者と、それとは無縁の一般の人たちのコロナに対する「病識のズレ」というのは、どうしても埋めがたいものがあると思います。「たとえコロナにかかったとしても、多くの人は無症状で軽症で済むんだから、そんなに問題じゃない」と一般の人はどこかで思っているかもしれません。

 しかし、医療従事者は違います。感染して院内クラスターが発生したら、病院はストップしてしまいます。仮に白血病患者などが入院する血液内科にコロナが持ち込まれたら、免疫抑制剤を投与している入院患者はひとたまりもないんです。