〈あらすじ〉
ブラジル南部の町、ポルトアレグレ。隣国ウルグアイから移住して46年になる78歳のエルネスト(ホルヘ・ボラーニ)は、ほとんど目が見えないため、室内の物の配置を一切変えずに、独りで静かに暮らしている。ある日、ウルグアイ時代の友人の死を告げる、彼の妻ルシアからの手紙が届く。偶然知り合った23歳の女性ビア(ガブリエラ・ポエステル)に、手紙の代読と代筆を頼んだことをきっかけに、ビアはエルネストの部屋に出入りするようになる。そのことが、静かに終わろうとしていたエルネストの人生を大きく変えることとなる。
〈解説〉
手紙の代読と代筆を通じた老人と若者の交流とそれぞれの変化を描く。ラテンアメリカの各映画祭で批評家の大絶賛と観客の大喝采を呼んだ。監督・脚本は『世界が終わりを告げる前に』のアナ・ルイーザ・アゼヴェード。123分。
-
中野翠(コラムニスト)
★★★★★硬骨老人と若くて無学な娘の交流。故国に残してきた恋の記憶。老優の風格。ほぼ室内劇なのに息苦しさを感じさせず。
-
芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆ありがちな入口の先に、意外な隠し部屋があって陰翳が豊かだ。弱そうで強く、自己憐憫を覗かせないJ・ボラーニが渋い。
-
斎藤綾子(作家)
★★★★☆独居高齢者の不安を楽しく温かく滑稽に描き、老いて尚したたかな姿を学べた。若者を構う知性があっての素直さが素敵。
-
森直人(映画評論家)
★★★★☆回春話をふくよかに醸成する南米歴史文化の多層性。ベネデッティの愛と闘いの詩に痺れ、粋な男カエターノの歌に酔う。
-
洞口依子(女優)
★★★☆☆老年期の孤独、世代差の友情、愛、勇気の叙情詩。主人公の部屋、路上の声を通じて映画の小気味よさをゆっくり味わう。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『ぶあいそうな手紙』(ブラジル)
シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中
http://www.moviola.jp/buaiso/
