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連載近田春夫の考えるヒット

BLACKPINKの新曲で再認識させられた“K-POPサウンドのタフさ”――近田春夫の考えるヒット

2020/07/29

『How You Like That』(BLACKPINK)/『Make you happy』(NiziU)

絵=安斎肇

“音のタフさ”とは漫然としたいい方で申し訳ないが、昨今kpopといった時、まずアタマに浮かぶのがそのコトバなのである。殊に女性アイドルに思うところが多い。

 少し前の、韓国特集企画で、金成玟(キムソンミン)北大准教授と対談をしたときも、俺はそんな感じで考えを述べていたと思う。

 今週取り上げることとなったBLACKPINKにしてもそうだ。我が国のシーンでは、超のつく大の人気者とはいえないのかも知れないにせよ、デビューして間もなくの頃、耳の確かな友人に音を聞かされて以来気にかかる存在となり、アップされた動画のチェックも結構したりしていた。その都度、日本のアイドルにはなかなかこの感じが出せないんだよなぁなどと思っていたのだが、それこそがまさに今いった“音のタフさ”ということになろうか。

How You Like That/BLACKPINK(YG Entertainment)MVアップ32時間で1億再生。jpop優勢のオリコンチャートでも上位に。

 このところ疎遠だったが、たまたま、レディー・ガガのニューアルバムで共演している映像に接する機会があり、英語圏にもしっかりと地歩を固めていることを、あらためて知った。いや、しかし。なんだかだといいつつレディー・ガガなのである。いまだポップスの聖地/本山がアメリカであるのは――かつてほどの勢いはなくなったとはいえ――厳然として事実だろう。その市場のトップアーティストが、日本独特の“幼女性(かわいい)”を売りの基本に据える子たちと五分五分でコラボするなんていうことは――少なくとも今の俺には――想像がつかない。皆さんはどう思われるか?

 そういえばレディー・ガガって、少し前、なんかもう死んじゃいそうなぐらいもの凄い痛い難病だったんですよね? 全然元気そうでなによりデス。

 話がそれてきた。

 kpopの“音のタフさ”については、それは勿論、諸要素の有機的な絡み合いあっての結果もたらされた印象ではあるが、やはりサウンドに因る部分は大きいのかなぁと、今回『How You Like That』を聴き、再認識をさせられた。

 もう少し具体的に申せば、シンセサイザーの用い方だ。

 この曲にしても、いかにもシンセ剥き出しといった音色が、要所要所で力強く訴えかけてくる。シンセというと、むしろキラキラしたファンシーな世界を演出する為に、デコレーション的な意味合いで、無難なポジションに配されることが普通なjpopと比べると、こうした刺激的/攻撃的な合成音をひとつの魅力の核として前面に押し出してくるkpopの姿勢は、どうしても逞しいというか、タフに思えてしまうのである。

 いずれにせよ、力業で世界を席巻し続ける韓国音楽産業に対し、何故我がjの業界は、太刀打ち出来ぬのか、只々手をこまねいているだけなのか。

 純粋に“音楽面”から、どなたか評論家のひと、jがいまだ世界市場進出も叶わず、燻り続けているというその訳を、是非わかりやすく解説でもしてくれないですかね?

Make you happy/NiziU(SONY)TWICE、GOT7などを抱える韓国のJYPエンターテインメントとソニーのコラボ女性グループ。

 NiziU。

 シンプルだが、曲にエネルギーがある。よい曲だと思う。

今週の占「このコロナ禍で在宅中のオレが近頃はまっていたのが、ネットの性格診断テスト。絵を見て選択肢に答えると、性格が判るとかそういうのね。どれも当たってる感じしなくて、オレが捻くれているのかって思っていたんだけど、この間やったら“あなたのボーイフレンドのタイプは~”だって」と近田春夫氏。「メインターゲットは女性だったよ!」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

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