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テレビ東京・名物プロデューサー座談会!「命削って撃ってくるみたいな社風」の企画術

「◯◯◯みたいなもん作らなきゃダメだ」

 先ごろ、ワークス・ジャパンが発表した、就活生が選ぶ「人気企業ランキング」で、テレビ東京が競合の在京キー局を抑え、テレビ局の中で最上位にランキングされて話題となった。かつて“番外地”などと呼ばれたテレビ東京だが、現在はバラエティ、ドラマで次々に話題となる番組を生み出している。

 なぜ今、テレ東が若者たちを惹きつけるのか、個性的な番組はどのように生まれるのか、などについて、テレビ東京を代表するプロデューサーたちに語り尽くしてもらった。

 

「やっぱ田舎者っぽいなって(笑)」

 集まったのは『やりすぎコージー』などでテレ東バラエティの礎を築き、現在も『モヤモヤさまぁ~ず2』や『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』を手掛ける伊藤隆行、10年以上続く深夜のお笑い番組『ゴッドタン』を制作しながら、ニッポン放送『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティなど自局内にとどまらない活躍でテレビ東京の“顔”となっている佐久間宣行、『フルーツ宅配便』『コタキ兄弟と四苦八苦』『きょうの猫村さん』など個性あふれるドラマを作る濱谷晃一、そして、初めて企画・演出をした、アメリカのギャングやロシアのカルト教団などの「ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯」を取材したドキュメンタリー番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』でいきなりギャラクシー賞を受賞した上出遼平の4人。

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濱谷 (1位は)嬉しいけど、正直、気恥ずかしいですね。テレ東の人が触れちゃいけないニュースだと思ってたら、社員がSNSで結構、喜んでいて、やっぱ田舎者っぽいなって(笑)。

上出氏(左)、濱谷氏(右)

上出 あんまり言いたくないんですけど、やっぱりいい会社っていうのが割とベースにあるんじゃないかと思います。僕もそんなにバリバリやる人間ではないですけど、そんな人にも優しいし、佐久間さんのようにバンバン表に出る人もいる。就活生って、働いた自分がどうなるんだろうっていうのが最大の関心事だと思うんですけど、佐久間さんみたいに楽しそうなオジサンが社員としているとそれを目指したくなる。

社内で「テレ東らしさ」と言いだす危うさ

佐久間 こういうものって今のイメージよりも1~2年前のイメージが反映される気がするんですよ。1年前くらいは上出の『ハイパーハードボイルドグルメリポート』とか確かに自由な番組をいくつかスタートさせていた。でも、1位で凄いって言われてる時には、だいたい内部はダメになってます(笑)。

伊藤 浮足立ってる人がいるよね。偉い人もテレビ東京のことを「テレ東」って言い始めたんだよ。「テレ東」っていうのは元々、「テレ東ってさー」みたいにちょっと小馬鹿にしたニュアンスも入ってるんだけど、社内で「テレ東らしさ」みたいなことを言い始めたんですよ。それはなんか危ねえなって。

2019年7月に放送された「ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート」は第57回ギャラクシー賞テレビ部門の優秀賞を受賞。シリーズはスピンオフを含めてParaviで配信中 ©テレビ東京

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 4人が手掛けてきた、世間で話題となった数々の番組はどうやって誕生したのだろうか。それぞれが自らの企画の立て方を語る中で伊藤プロデューサーから意外なキーワードが飛び出した。

「ウンコ」だ。