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“絶賛売り出し中”ロッテ・和田康士朗のライバルはJリーガー 中学時代のクラスメイトとの切磋琢磨

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/08/23
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 マリーンズに絶賛売り出し中の選手がいる。和田康士朗外野手。今シーズン前に育成から支配下登録されると俊足を武器に走りに走ってアピールをしている。高校1年まで陸上部で走り幅跳びの選手をしていたという異色の経歴も相まって大きな注目を集めている。そんな若者が刺激を受けるライバルはこれまた別の世界にいる。JリーグでMFを務める松本泰志選手だ。

絶賛売り出し中の和田康士朗 ©千葉ロッテマリーンズ

中学時代に切磋琢磨した仲

「中学1年の時のクラスメート。気が合って、その時から今までずっと付き合いがあります。彼が1年先にプロに入って翌年に自分が育成でロッテに入りました」と和田。

 友はサンフレッチェ広島に在籍していたが8月20日にアビスパ福岡に期限付き移籍が決まった。中学時代のクラスメートで気が合った。当時、体育では短距離は和田。長距離が松本。周囲からそう言われ、運動神経を競い合い、意識をし、切磋琢磨した仲だ。結局、短距離で負けることはなかったが、長距離で勝つ事も出来なかった。当時から松本が部活動ではなく、クラブチームでサッカーをしていることは知っていたが、その本当の実力は知らない。サッカーをしても遊ばれるかのようで、本領を発揮してくれることはなかったからだ。高校は別々の学校に進学。親友は1年生の時からサッカーの全国大会に出場するなど活躍。自身は一度、野球を辞め、陸上部で走り幅跳びの選手としての日々を送っていた。6メートル45。それが和田の当時の幅跳びとしての記録だった。

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 和田は高校1年の三学期に再び野球への情熱が芽生え陸上部に退部届を出すと、地元のクラブチーム入りし、野球を再開する。その後、高校を卒業のタイミングで前年にクラブチームの先輩が独立リーグのチームにテストで合格をして入団をしていたことから「自分も腕試しに」とトライアウトを受験。するとドラフト1位という破格の扱いで入団が決まった。大きな自信を掴んだ。そして今度は次なる欲が湧いてきた。NPBでのプロ入り。今まで思い描いていなかった夢を現実の目標に捉えるようになっていた。

 時を同じくして中学校の時に運動神経を競い合っていた親友もJリーガーになっていた。17年にサンフレッチェ広島に入団。すぐにJリーグデビューを果たすとU-23で日本代表デビューと飛躍をした。それらの情報が耳に入るたびに刺激を受け、次なる夢への原動力にした。そしてついにガムシャラな姿と俊足がマリーンズスカウト陣の眼に留まる。「将来性を感じる面白い人材」と17年10月に行われたドラフト会議の育成1位で指名された。指名を受けた時、一番最初に浮かんだのは中学1年生の時から運動神経を競い合った友の顔だった。

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