文春オンライン

「先生、俺にもご褒美下さい」不倫、年の差、禁断愛……TBS「火ドラ」を恋愛ドラマの定番にした“胸キュンセオリー”

逃げ恥、ぎぼむす、恋つづ、わたナギ……

2020/07/28
note

 初回から3回連続視聴率12%超と好調に推移している多部未華子(31)主演の『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)。「こんな家政夫が欲しい」「癒される」という声も多く、評判も上々だ。

 それにしても面白いのは、放送開始前から《絶対好きなやつ》《これ、絶対面白い》と予感しているコメントがSNSで多数見られたこと。一つには、多部未華子×大森南朋(48)というキャスティングの安心感もあったろうし、「おじさん家政夫」というテーマへの期待もあったろう。

 しかし、ドラマ好きに刺さっていたのはそれだけではない。いま、TBS火曜夜10時の枠自体が、かつてトレンディドラマの大流行を牽引したフジテレビの「月9」のような、“間違いないドラマの代名詞”となっているのだ。

ADVERTISEMENT

ことごとくSNSでバズってきた「火ドラ」

 TBSに、火曜夜10時の「火曜ドラマ」、略して「火ドラ」枠が誕生したのは、2014年4月。この枠は長らくバラエティ番組が放送される枠だったが、8年続いたダウンタウンのお笑い番組『リンカーン』が終わり、後番組『100秒博士アカデミー』も終わったタイミングで、“ドラマ好きの大人”に向けたドラマ枠に変更された。

『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)公式サイトより

 火ドラの狙いは見事に当たった。視聴率が右肩上がりに伸び、社会現象ともなった新垣結衣(32)×星野源(39)の『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)や、綾瀬はるか(35)主演の笑って泣ける母娘ストーリー『義母と娘のブルース』(2018年)、大人の女性たちが佐藤健に胸キュンさせられた上白石萌音(22)×佐藤健(31)の『恋はつづくよどこまでも』(2020年)など、この枠のドラマはいつも大きな話題を呼び、高視聴率をマークしてきた。 

佐藤健 ©︎AFLO
『恋はつづくよどこまでも』(2020年)公式サイトより

 他の作品も、たとえ視聴率が大きくハネなくとも、ことごとくSNSでバズり、固定のファンを持つ強さを持っている。それはいったい、何故なのか。

2014年

『なるようになるさ。』舘ひろし主演

『東京スカーレット~警視庁NS係』水川あさみ主演

『女はそれを許さない』深田恭子×寺島しのぶ

 

2015年

『まっしろ』堀北真希主演

『マザー・ゲーム~彼女たちの階級~』木村文乃主演

『ホテルコンシェルジュ』西内まりや主演

『結婚式の前日に』香里奈主演

 

2016年

『ダメな私に恋してください』深田恭子主演

『重版出来!』黒木華主演

『せいせいするほど、愛してる』武井咲×滝沢秀明

『逃げるは恥だが役に立つ』新垣結衣×星野源

『逃げ恥』の星野源 ©︎文藝春秋

 ひとつには『逃げ恥』の「恋ダンス」や、『恋つづ』の告知としてスタートした佐藤健の公式LINEやsugarなど、SNSを意識した仕掛けの数々が効いているということもあるだろう。さらに「#逃げ恥」「#ぎぼむす」「#はじこい」「#恋つづ」「#わたナギ」など、の“愛称”を公式Twitterから積極的に発信していくという、小さな工夫もSNSでバズるきっかけを作っている。