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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/08/11

genre : ニュース, 社会

緒方孝さんに対する殺人罪で起訴

 後任弁護団が選任される前の11月2日、福岡地検小倉支部は、松永と緒方を緒方の父・緒方孝さん(仮名)に対する殺人罪で起訴した。公訴事実は以下の通りである。

〈被告人両名は、共謀の上、平成9年(1997年)12月21日ころ、北九州市小倉北区片野×丁目『片野マンション』30×号室において、被告人緒方の実父である孝(当時61)に対し、殺意をもって、同人を正座させ、電気コードの電線に装着した金属製クリップで同人の上下唇を挟み、折り畳んだ紙を口に噛ませた上、同電気コードの差込プラグと、電圧100ボルト、電流30アンペアの家庭用交流電源に差し込んだ延長コードの差込口とを接続して同人の身体に通電させ、よって、そのころ同所において、同人を電撃死させて殺害したものである。

罪名及び罰条

殺人 刑法第199条、第60条〉

 その3日後、後任の弁護団が松永と緒方にそれぞれつけられた。被疑者と最初に接見したのは緒方の弁護団で、11月6日に約1時間半をかけての接見後、一部のメディアに囲まれた。しかし緒方が、「捜査当局に正直に答えるつもり。接見の内容については喋らないでほしい。法廷でちゃんと対応します」とのことで、詳しい内容の説明はなかった。

松永は「自分の言い分は調書にしてもらえない」

 一方の松永弁護団は、11月7日に約1時間半の面会を行い、その内容について翌8日の昼に会見を開いた。担当弁護士は言う。

「面会内容については主に、起訴されためいの花奈ちゃん(仮名、当時10)と父親の孝さん殺害について話を聞きました。新聞などで報道されているように、松永は供述をしていますが、彼からは『今後も話した方がいいかどうか』との相談がありました。(弁護団の)結論としては、『話したいことは話していい』と本人に伝えています。彼は『自分の言い分は調書にしてもらえない』と言っていました。署名・押印についても、すべきかどうか相談がありましたが、自分の意に沿った調書ではないというので、『署名・押印は慎重に』と告げています。自分の言い分を調書にしてもらえないことに、彼は不満を抱いていました」

(写真はイメージ)©️iStock.com

 花奈ちゃん、孝さん両事件の起訴事実の認否については、そのどちらとも松永は否認しているという。また、初接見での松永の印象について記者から質問され、「よく喋るほうだな、というものでした」と答えた。弁護士は続ける。

「(松永が)黙秘から供述を始めるようになったのは、いつ頃からかはわかりません。前任弁護士のときからでないでしょうか。供述を始めるきっかけについては聞いていません。彼は取り調べのなかで刑事から、『(緒方)純子を悲劇のヒロインに仕立てていくつもりだ』と言われたそうです。かなり不服の様子でしたから、そんなことまで弁護士に話したんだろうと思います。彼は弁護士に対しては、(『緒方を悲劇のヒロインに仕立てる』について)『それは違う』とはっきり言っています」