「中国共産党への見方を変えることから、始めなければならない」
ポンペオ米国務長官(56)が7月23日に行った演説は、米中関係について、共産党独裁と民主主義との体制間競争であると定義し、“対中包囲網”の結成を呼びかける強烈なものだった。
この演説に前後して、米政府は、テキサス州ヒューストンの中国総領事館が「スパイ活動の巣窟」になっているとして閉鎖を命令。これに中国が報復措置として四川省成都の米国総領事館の閉鎖を命じ、米中関係は最悪の状態となっている。
「トランプ大統領は元々、中国に対し、巨額の対中貿易赤字に不満をもっていた。さらに新型コロナの累計感染者が約420万人以上と世界最多となったことで、中国敵視に大きく舵を切った。当選に黄信号が灯る大統領選へのアピールという側面も強い」(日米関係筋)
こうした米政権の対中強硬策の中心で最近注目を集める人物がいる。中国系アメリカ人のマイルズ・ユー(余茂春)氏(57)だ。
ポンペオ国務長官の対中政策立案の顧問を務めるユー氏は、国務長官室の近くに個室を与えられ、「国の宝」(スティルウェル国務次官補)と高い評価を受ける。
中国共産党が発表する論文に秘された政治的意味を読み解き、習近平指導部の弱点を巧みに突く政策をアドバイス。共産党幹部が頻繁に使う「ウィン・ウィン」や「相互尊重」などの言葉が何ら意味を持たないと指摘しているという。