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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

「通電を“改良”してケロイドは残らなくなった」松永太が口にした“虚実ないまぜ”の詭弁

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #22

2020/08/25

genre : ニュース, 社会

 これまで松永太と緒方純子の再逮捕は、勾留期限の満期に合わせるなど、一定の間隔で行われてきた。そのうち殺人については、緒方のめいである緒方花奈ちゃん(仮名、当時10)の次に、父の緒方孝さん(仮名、当時61)についての起訴が、2002年11月2日に済んでいる。しかし、緒方に続いて松永も取り調べに応じるようになり、供述調書の作成が始まってからは、新たな事件の立件がぱたりと止んだのだった。ある捜査員は福岡県警担当記者に次のように話している。

松永はいつもニヤニヤと笑みを浮かべていた

「事件の筋を今後、どう描くかは分からないが、緒方も話してるようだし、(松永と緒方の)ふたりが完黙していたこれまでと違って、ピリピリムードはかなり緩和された感じだ」

 じつはこの段階で、再逮捕については検察の判断次第という状況になっていた。前出の記者は説明する。

「捜査幹部に話を聞いたところ、『あとは全部、検察待ち』と言っています。それも福岡地検小倉支部ではなく、福岡高検が判断を下しているようで、次の再逮捕の時期だけでなく、緒方のおい(佑介くん=仮名)か母(和美さん=仮名)のどちらの事件でやるかも、現場ではわからない状態でした」

 同記者はこの時期に、警察署内で取り調べに向かう松永の姿を何度か目撃していた。

「小倉北署で午前中に取調室へと向かう姿を見かけましたが、捜査員に連れられて廊下を歩くときは、いつもニヤニヤと笑みを浮かべていました。それはもう毎回のことでした」

※画像はイメージ ©︎iStock.com

 同年11月22日に開かれた松永の弁護団による定例会見では、松永の取り調べ状況について、「週1回、土曜日が休み。あとは連日、検事・警察調べが続き、それぞれ調書を作ったり、メモを取られたりしている」(弁護団コメント、カギカッコ内は以下同)ことが明かされた。

 再逮捕までの間隔が開き、捜査機関からの情報も乏しかったこの時期において、松永の弁護団による定例会見は、記者たちにとって、事件についての情報を得る貴重な場だった。