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宗教にハマった父を死に際まで呪う娘! 看護師が見た毒親の最期とは?

『お別れホスピタル』より

“ゴミ捨て場”と陰で呼ばれる「終末期病棟(ターミナル)」に入院する患者たちと、その病棟で働く看護師を描く『お別れホスピタル』。大ヒット作『透明なゆりかご』で知られる漫画家・沖田×華氏が「週刊スピリッツ」にて月イチ連載している病院コミックです。看護師資格を持つ沖田氏が、医療従事者への取材をもとに構成したこの作品には、超高齢化社会の今だからこそ読むべきテーマが散りばめられています。

「親子の関係とは何か」を深く考えさせられる

 回復が見込めず、死が間近に迫る様々な患者と家族のドラマは、誰もがいずれは迎える“自分の死”というものを改めて見つめ直すきっかけを与えてくれるでしょう。

 今回、掲載するカルテ2は「この話のネームが書けた時に『お別れホスピタル』という作品を描き続けられるような気がしました」と沖田氏自身が語るストーリーで、宗教にハマった父を死に際まで呪う娘の姿とその顛末に、読み手は「親子の関係とは何か」を深く考えさせられます。

 清井聡助さん(74歳)は、熱心に宗教活動を行っていましたが、アルコール依存症が悪化して、道場で動けなくなったために入院。入院先で肺ガンが見つかり、余命半年との宣告をされて、主人公・辺見の勤める病院へと転院してきます。入院しても欠かさず、祈りを捧げる清井さんの信心深さに辺見は驚きます。

 清井さんのもとには毎日、娘の八重さんが見舞いに訪れます。年齢よりもかなり老けた印象に辺見は驚きつつも、「お父さん思いの娘さんだな」と思いますが、先輩看護師は毎日やってくる彼女の様子に、どうにも違和感を感じているようです。

「ガンになったアンタのことも救ってくれないじゃない」

 そんなある日、辺見は八重さんが清井さんに話している内容を聞いてしまいます。「今まで1回だって父さんを神様が救ったことがあった…!?」「ガンになったアンタのことも救ってくれないじゃない…なんてみじめな人生――」と父親への悪口をずっと耳元で話していたのです。辺見は、子供とは「親が育てたように育つ」ということを思います。子供を痛めつけて育てた親は、年老いたら痛めつけながら世話をされる。子供を突き放した親は、動けなくなれば子供に見放される、そういうふうにできているのだと……。

 
 

 そのように八重さんが清井さんに恨みを持つのは、当然の理由がありました。清井さんは、アルコール依存症を治すためにある宗教団体に入信して以来、稼いだお金はすべて寄附し、そんな夫に愛想を尽かして妻もいなくないます。そのため、八重さんは物心ついた頃から、父と一緒に教団施設で育ち、学校にも行かないまま、人生すべてを教団に捧げさせられます。しかし3年前、清井さんが倒れたために施設から追い出されてしまった八重さんは「自分自身の人生を父に殺された」と恨んでいます。父の清井さんに「神なんかいない」と認めさせることが、彼女の生きる意味になっているのです。