「次の法王は……」占い師が感心した「予言」
13年の年明け、王見被告は仲間の1人と沖縄を訪れた時、占い師に姓名判断をしてもらった。占い師は王見被告を見て強い力を感じ、「あなたは日本を建て直す人ですね」と伝えると、「そうです、私が日本を変えるのです」と答えた。
王見被告は穏やかで感じが良く、落ち着いていた。雑談の中で、「次のローマ法王は、これまで出たことのない大陸から生まれる。色の黒い法王が生まれるかもしれません」と言い出した。直後の3月、中南米初のアルゼンチン出身の法王誕生が決まり、「感心した」と占い師は後に語っている。
また王見被告は、歴史を覆す神話が書かれた古文書「竹内文書」に詳しかった。歴史学上は偽書だが、今なお本物だと信じる人が後を絶たないものだ。
霊能力を持つと言われていた沖縄在住の別の男性は、王見被告のことを「この人はウソじゃないな、この人は本物だな、と分かるでしょ」と言って1億円出したという。
しかし福井県では、貴金属商の男性が1億円を出した後、30代の長男が詐欺だと看過して裁判寸前になった。王見被告らは、「大騒ぎして、返金する金を作るために『10万円でも20万円でもいい』と言ってお金を集めていました」(関係者)。
実家の競売を申し立てられ、1億円だまし取った夫人から……
広島県では70代の病院長夫人だった。
「日本政府が戦時中に海外に預けていたお金を取り戻すことができるが、そのためにはお金がかかる」などと言われ、数年の間に1億円以上出していた。
王見被告は実家を担保にした借金も繰り返し、01年に債権者から実家の競売を申し立てられた。王見被告は院長夫人に落札を依頼。実際は1000万円程度で落札できたが、「3000万円必要」と言って院長夫人はその通りに落札した。
夫の病院長はこう話していた。
「家内は虚栄心が強くてお金への欲もありますが、一方で人が良く、人をすぐに信じて同情する人でもあった。ウチは相応の財産がありましたが、家内が家計を見ていたのでお金を出していたことは分からなかった。最後は病院のお金に手を付けていました」
夫妻はその後離婚。院長夫人は東京へ去り、行方は分からないという。