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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

実父の死への関与を突き付けられ、黙秘で守り抜こうとした“なにか”が決壊した

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #24

2020/09/08

genre : ニュース, 社会

 2003年1月11日、捜査本部は松永太と緒方純子を、緒方のおいである緒方佑介くん(仮名、当時5)の殺人容疑で逮捕した。彼らへの逮捕はこれで7度目のものとなる。捜査本部が発表した逮捕事実は〈被疑者松永太、緒方純子は、被害者を殺害することを共謀し、平成10(1998)年5月17日ごろ、北九州市小倉北区片野×丁目のマンションの一室で、ひも様のもので被害者の首を絞めるなどして窒息させ、殺害したものである〉というものだ。

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殺害日は、清美さんと緒方の記憶がほぼ一致

 逮捕された時刻は松永が午後2時2分で、緒方が午後2時33分。弁解録取書に松永は「否認します」として署名・押印し、緒方は「間違いありません」と署名・押印した。

 逮捕事実にある殺害日については、監禁致傷の被害少女(広田清美さん=仮名)と、緒方の記憶がほぼ一致していたことから特定されており、殺害場所とされる『片野マンション』(仮名)への家宅捜索時に、凶器として使用された〈ひも様のもの〉とされる、布製のひもは発見・押収されていた。

 これで残った、未だに事件化されていない関係者は、少女の父である広田由紀夫さん(仮名)、佑介くんの母で緒方の妹である緒方智恵子さん(仮名)、その夫の緒方隆也さん(仮名)の3人ということになる。

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図

 そんな折、これまで会見を開いてこなかった緒方の弁護団が、就任以来初めての記者会見を、1月17日に行った。

 前年10月に、それまで黙秘を貫いてきた緒方が自供を決意し、それ以降は対抗するように松永も“独自”の主張を繰り返すようになっていた。松永の言い分は彼の弁護団が定期的に開く会見で明かされ、集まったメディアに報じられている。当然ながら今後の裁判において、松永との利害の対立が予想される緒方側も、その主張を明確にしておく必要があった。