〈あらすじ〉
1933年、イギリス。元英国首相ロイド・ジョージの外交顧問を、政府の予算削減により解雇されたガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)は、フリーランスの記者として単身モスクワを訪れる。その目的は、世界恐慌の嵐が吹き荒れるなかで経済的な繁栄を続けるソ連の、莫大な国家予算の出どころを探ることだった。当局の監視の目をすり抜けて、不可解な死を遂げた友人の記者が調べていたウクライナにたどり着いたガレスは、正気を失うほどの飢えに苦しむ民衆の姿を目の当たりにする。
〈解説〉
スターリン政権下のソ連での実話をもとに、謎めく大国の真実に命がけで迫った英国人記者の姿を描く社会派サスペンス。『ソハの地下水道』のアグニェシュカ・ホランド監督。118分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★★スターリン時代、ここまで悲惨だったとは。外国人記者たちのおざなりな報道ぶり。キャスティングもよく、見応えあり。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆脚本はたまに粗いが、A・ホランドの分厚くて粘稠な描写はさすが。惨事と背景を台詞抜きに立ち上がらせる映像が強い。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆少年少女の讃美歌のような歌声が美しく、詩の内容は震えあがる恐ろしさ。ソ連繁栄の裏に隠された現実に身の毛もよだつ。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆実直な青年の冒険譚として腐敗した権力機構の闇を見せる。語り部に作家オーウェルを持ってくるなど作劇の工夫も上々。
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洞口依子(女優)
★★★★☆オーウェル『動物農場』へ影響を与えたジョーンズ氏のスクープ。肥沃な黒い大地のウクライナ。今日をも予感する叙事詩。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(ポルトガル、米、マレーシア)
新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中
http://www.akaiyami.com/
