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中堅職員反発も「本部の仕事を3割減らせ」…三井住友FG・太田社長が取り組む行内改革――文藝春秋特選記事

3月期決算の最終利益では初の“メガ首位”に

「文藝春秋」8月号の特選記事を公開します。(初公開:2020年7月22日)

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「グループのデジタル化を進めていけば、一人当たりの業務量をもっと減らしていくこともできるはずです。我々の強みの一つは経費率の低さ(三菱UFJフィナンシャル・グループの70%に対し、三井住友フィナンシャルグループは62%)ですが、まだまだ“締めよう”と思っています。当面は60%まで下げたい」

「文藝春秋」8月号のインタビューでそう語るのは、三井住友FGの太田純社長(62)。三井住友FGと言えば、今年3月期決算の最終利益で三菱UFJFGを抜き、現行の3メガバンク体制になってから初めて首位に立った。

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太田純氏(三井住友フィナンシャルグループ社長) ©文藝春秋

 中でも、太田氏が「強みの一つ」と語るのが、人件費などを含めた経費率の低さだ。しかし、今回のコロナショックを通じてまだまだ経費率を下げる余地があることを痛感したという。一体どういうことか――。

「できない仕事」は「要らない仕事」だった

「今回のコロナショックでよく分かったのは、テレワークをしていると、どうしても『できない仕事』が出てくる。ところが、その仕事はやらなくても、誰一人困らないというケースが結構あった。結局、『できない仕事』は『要らない仕事』だったわけです。例えば、本部から現場への『通達』の中には、現場の人間は誰も読んでいないものもある。『なぜ作っているの?』と聞くと、『前から作っていますから』という。そうした『要らない仕事』をなくしたり、ロボットに任せれば、業務量は減らせるし、結果として人も減らせます」

最終利益で初のメガ首位に ©文藝春秋

 そこで太田氏は今、こんな号令を掛けているという。「本部の仕事を3割減らせ」。当然ながら、行内からは抵抗する声も出てくる。

「特に本部の中堅職員は、そうしたフレームワークの中で出世してきたわけです。いきなり『あなたの仕事は要りません』と言われたら、困るのも無理はない。当然、彼らとも話し合いますが、話し合って変わらなければ、もう思い切って変えていくしかありません」