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在宅勤務で増える脚のむくみ 「片足だけが腫れている」には要注意…重大な病が潜むことも

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genre : ライフ, 医療

在宅勤務で増える脚のむくみ 「片足だけが腫れている」には要注意…重大な病が潜むことも

 Uさんは「最近、脚がむくんでいる」といって来院された。両側のむこうずねのところを押してみると少しへこむ。40歳代後半のUさんは、今まで健康診断で異常を指摘されたことはなく、内服中の薬もないとのことだった。

 ただ、生活上の変化はあった。新型コロナの影響で在宅勤務が週の半分以上になっているという。一日中パソコンの前に座っていることが多く、「その影響か?」と考え、しばらく放置していたが、改善しないので心配になって来たのだった。

「座りっぱなし」を改善

 下肢(脚)の静脈 瘤(りゅう) がむくみの原因となることもあるので、脚全体を見せてもらった。しかし、目立った静脈瘤はない。念のため、腎臓機能の低下や体のタンパク質の状態、甲状腺機能など、足のむくみに関わりそうなことについて血液検査をしたところ、異常はなかった。

 生活上の注意として、Uさんには座りっぱなしでいないよう気を付けてもらい、さらに減塩を心がけてもらうことにした。Uさんは、「何か改善する薬があれば服用したい」と話したので、相談の上、むくみを改善する漢方薬を、しばらくの間、服用してもらうことにした。

 2週間ほどたって来院した時には、症状が改善していた。徐々に薬も減らしてもらい、その後はむくむこともなくなった。

右足だけが腫れているKさん

 Kさんは40歳代前半の女性だ。2日前から右脚が腫れてきたという。診察すると、確かに左に比べて腫れている。片側が腫れている場合は、治療を急ぐべき病気も考えられる。細菌の炎症による 蜂窩織炎(ほうかしきえん) という病気や、深部静脈血栓と言われる静脈内で血液がかたまってしまう病気だ。

 Kさんは脚に痛みはなく、熱感もない。皮膚にも傷や発疹、ただれなどはなかった。内服中の薬はないかうかがうと、若い時からあった月経困難症が最近つらくなり、症状を軽減するため、2か月ほど前から女性ホルモン薬による治療を受けているとのことだった。女性ホルモン薬による治療は、月経に伴う症状を改善してくれるが、ごくまれに副作用として深部静脈血栓が起こることがある。

 Kさんにその可能性があることを告げて、処方した婦人科の医師にも相談した上で、循環器専門医を受診してもらうことにした。幸い軽度の状態であり、大事には至らなかったが、その後のホルモン治療は断念せざるを得なかった。

1時間ごとにタイマーをかけ

 コロナウイルス感染の拡大により在宅勤務が増え、生活環境が変わる中で脚のむくみを感じている方は多い。通勤や会社内の移動などで体を動かすこともなく、日中に座っている時間が長くなれば、どうしてもむくみやすい。

 そこで、在宅勤務をしている方には、できるだけ1時間ごとにタイマーをかけてパソコンに向かうようお願いしている。タイマーが鳴ったら、冷蔵庫に飲み物を取りに行ったり、トイレに立ったりしてもらう。座っている間も、時々は脚を伸ばすように持ち上げ、爪先を90度上げ下げし、ふくらはぎを動かす。これは膝痛予防のためにもよい。できれば膝小僧のお皿の周りや、土踏まず、足指をもんだり、腕を上にあげて伸びをしたり、両側の肩を後ろに引いて肩甲骨を動かしたり、会社では人目を気にしてできないような動作をしてみよう。

 それでも脚の片方だけが腫れた場合や、むこうずねのところを押すとへこむ場合は、放置せず医療機関を受診してほしい。(常喜眞理 医師)

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