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「90のバアさんの生き方を、60歳、70歳の人に見せてやる」――内海桂子さんが語っていた死生観 #1

source : 週刊文春 2012年9月13日号

genre : エンタメ, 芸能, テレビ・ラジオ, 娯楽, ライフスタイル

 漫才コンビ「内海桂子・好江」で知られる、漫才協会名誉会長の内海桂子さんが8月22日に亡くなっていたことがわかった。97歳だった。

 理想的な死のかたちとはどういうものかを人生の達人に尋ねる『私の大往生』(文春新書)で、内海さんは自らの死生観について語っていた。インタビュー全文を特別公開する。なお、記事中の年齢、日付、肩書などは掲載時のまま。(全2回の1回目/#2へ続く)

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内海桂子さん ©文藝春秋

 漫才師として初めて芸術選奨文部大臣賞を受賞した、内海桂子師匠。90歳を目前に控えた今でも変わらず舞台に上がり、自作の都都逸を披露し、日本舞踊を舞う。2年前にはツイッターのアカウントも開設し、日々のつぶやきを欠かさない。

 生涯現役を貫く生粋の芸人が「往生なんて、わかりませんよ」と笑いながら「理想の死」を語った。

ある日突然ぱっと逝っちゃうのが一番いい

 死ぬときはやっぱり、自分の商売を一生懸命やってて、ある日突然ぱっと逝っちゃうのが一番いいんじゃないかな。

 長患いをするっていうのは、周囲にも迷惑がかかる。今までしっかり働いてたのに、そういう思いをするのは嫌でしょ。誰にも面倒見させないで、っていうわけには、なかなかいかないでしょうけどね。

 だから、突然バッと倒れて「あら、息しなくなっちゃったわね」なんていうのがいいね。それが一番、周囲に迷惑をかけるのかもしれないけど、目つぶっちゃったらそれくらいの迷惑はしょうがないわね、と思ってもらいたい。

 そんなことまで心配しながら生きてらんないですよ、すいませんが。

 それよりも、その瞬間まで、自分のやれることをどこまでやれるか。

 そこまで芸をやり続けるっていう人間も、なかなかいないでしょ。

 今年(2012年)の9月で満90歳になります。数え年10歳で奉公に出て、16歳で漫才を始めた。好きで漫才師になったわけじゃないし、小学校も半端で、3年間しか通ってない。それで90までこうやって生きてこられて、こないだまで漫才協会の会長、いまは名誉会長なんて。別に会長らしいことは何もやってないけどね。