文春オンライン

【ポスト安倍を辛口採点 柿崎明二】政権“居抜き”「河野首相×菅官房長官」なら長期政権も 問題は「みこしの乗り方」

2020/08/31
note

 安倍晋三首相の突然の辞任表明を受け、火蓋が切って落とされた「ポスト安倍」レース。候補者たちが連日メディアを賑わせ、水面下の駆け引きも続いている。コロナ禍、東京五輪、経済対策など課題が山積する中、次期宰相には誰がふさわしいのか。

「文春オンライン」では、各界の識者に連続インタビューを行い、「ポスト安倍候補」を採点してもらった(5点満点)。今回は、共同通信社論説副委員長兼編集委員の柿崎明二氏に聞いた。

柿崎明二・共同通信社論説副委員長兼編集委員 ©文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

石破茂 ★3.5 「不安定な政権の姿が目に浮かぶ」

 メディアでも積極的に発言し、世論調査でも高い支持率が出ている石破さんですが、いざ首相になった時を考えてみると政権の「骨格」が見えない。安倍首相には、麻生さんや菅さんという「盟友」や「参謀」がいましたが、石破さんの場合、政権の現場を回す立場を任せられる仲間の数が足りません。

 となると、石破さんがいざ政権を作るとなれば、官房長官を筆頭とする主要閣僚、幹事長など党の重役を、かつて首相の座を争った敵対陣営のメンバーで構成しなければなりません。政権の一歩目となる「骨格作り」の段階で、いきなり難題を抱えてしまうのです。

石破茂氏 ©文藝春秋

 安倍政権の枠組みが「ガラッと変わる」と聞くと良い事のようにも聞こえますが、実際の問題として考えると、「石破首相」の実力云々の前に、権力基盤にガタつきを抱える不安定な政権の姿が目に浮かぶのです。

 次の政権は、安倍首相の「ピンチヒッター」というタイミングで始まらざるを得ません。にもかかわらず、いきなり「参謀不在」という難問をクリアすることは簡単ではない。政治家としてのキャリアや実力を考えて★3.5としますが、評価はここで頭打ち。内閣という「チーム」を構成できないという欠点は、すぐには改善できません。