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泣いてから、携帯電話を取り出し……昭恵夫人の“淋しさ”と「自分探し」が行き着いた先

彼女の自制心のなさは、本当に素朴なものだったのだろうか

2020/08/31
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 辞意を表明した安倍首相が最も長く在任した総理大臣なら、その妻は最も世を騒がせた首相夫人であった。

 コロナ禍の春でいえば、夫の安倍晋三は「布マスクを配れば不安はパッと消えますよ」という佐伯(さいき)耕三首相秘書官を信頼するあまり、布マスクの配布に躍起になった。 

 対して妻の安倍昭恵はどうか。「不安と恐怖が、ウィルスに対する愛と感謝に変わった途端、ウィルスは、目の前で、ブラックホールから、突然、喜んで、消え去ります」と説く“ドクタードルフィン“に傾倒。「神ドクター降臨 in Oita」なるツアーに参加し、大分県の宇佐神宮にお参りにいって、騒ぎを起こす。(注1) 

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安倍昭恵夫人(右)と安倍晋三首相 ©getty

 かつてレーガン大統領の「ファーストレディ」ナンシー夫人が占星術師に入れ込んだことから、占星術が政策やスケジュールに影響を及ぼすようになり、問題となったことがある。

 それをおもえば、ドクタードルフィンの主張が官邸のコロナ対策に影響することはなく布マスクで済んだのだから、安倍昭恵が「公人」ではなく、ただの「私人」で、ほんとうによかった。 

一行が参加したと見られるツアーのパンフレット

昭恵氏の信条「『対話』をすればわかり合える」

 そんな安倍昭恵、「どんな人でも『対話』をすればわかり合える」(注2)を信条にしている。沖縄で政府が進めるヘリパッド建設現場にも出向いて、反対派と対話を試みたこともある。「対立、分離した世の中を『愛と調和』の世界にしていく」(注2)との思いからで、タカ派・保守派と目される夫と対立するひとたちのあいだに入っていこうというのだ。

 あるいは「脱原発」を訴えもしたし、LGBTの権利向上を訴えるパレードにも参加した。ときには大麻畑で微笑んで、日本古来の大麻文化を宣伝し、その流れで高樹沙耶と親交を深めもした。 

©getty

 これらを見ると、政治が目を向けないところに目を向けさせようと自らが行動しているようにも思える。しかしそれではドクタードルフィンと旅行にいったり、手越祐也と宴会したりすることには、つながっていかない。 

 では安倍昭恵の行動原理は一体なんなのか。よく言われるのは「自分探し」だ。