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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

緒方純子のおい(当時5歳)殺人の嫌疑を否認する松永太の言い分とは

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #25

2020/09/22

genre : ニュース, 社会

 緒方純子の弁護団が、就任後に初めてとなる記者会見を開いた2003年1月17日、同会見と時間をずらして、松永太の弁護団も、すでに定例となっている会見を開いた。

 そこでは、改めて一連の緒方家親族に対する殺人容疑への関与を否定する傍ら、監禁致傷被害者の少女(広田清美さん=仮名)と、監禁致傷及び詐欺・強盗被害者の41歳女性(原武裕子さん=仮名)への犯行については、最終的に認める方向であることが明かされた。ただし、裕子さんの事件については、「強盗が恐喝では、との法的解釈について争う余地がある」との説明が付け加えられていた。

松永弁護団は、緒方の供述に懐疑的

 またこの翌週となる1月24日の松永弁護団の会見は、殺人への関与を否認するだけに止まらず、「(松永が)調べ官から『緒方は突然泣いたり怒り出したり、笑ったり、バカな真似をしだした』と聞いた」というような、緒方の供述の信ぴょう性に疑問を抱かせる意図の発言も飛び出した。この説明には続きがあり、「緒方は拘禁反応が出ているのではないか。そういう状況から、緒方は不本意ながら容疑を認める供述をしているのではないか」として、松永弁護団としては、緒方の供述に懐疑的な見方であることを表明している。

(写真はイメージ) ©️iStock.com

 1月30日には、松永の勾留理由開示公判が開かれることになっていた。これは、刑事訴訟法に基づき、なぜ被告人の身柄を勾留する必要があると認めたのか、裁判官が理由を説明する手続きのこと。なお、今回の開示請求の対象は、1月11日に逮捕状が執行された、緒方のおい・佑介くん(仮名、当時5)殺人容疑についてである。

 この勾留理由開示請求について、記者の取材を受けた福岡地検幹部は、次のように一蹴していた。

「仮にあったとしても、別にどうってことないですよ。たぶん裁判長は一言、『刑事訴訟法第××条により(勾留を)認める』と言って終わり。何分もかからないんじゃないですか。はっきり言って、ただの捜査妨害です」

「佑介くん事件」について、松永の弁解

 この公判に先立って、松永弁護団は1月29日に「意見書」を提出している。そこでは松永の佑介くん事件についての弁解が記されていた。それは以下の通りだ(意見書からの引用は〈 〉の部分。一部を抜粋)。

〈本件当時ころ、自分と緒方純子は、小倉北区東篠崎×丁目×番×号『東篠崎マンション』(仮名)90×号室に居住しており、当日も『東篠崎マンション』にいた。本件当日も、自分が犯行現場である同区片野×丁目×番×号『片野マンション』(仮名)30×号室に行った事実はない。

 本件当時ころ、『片野マンション』には、広田清美(仮名、以下、既に起訴された被告事件審理における用例に従い、「甲女」という。)が1人で住んでいた。

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図