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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

緒方純子のおい(当時5歳)殺人の嫌疑を否認する松永太の言い分とは

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #25

2020/09/22

genre : ニュース, 社会

 この点においては水掛け論であり、あくまでも松永の主張はこうだ、との話である。弁護団としても松永の主張に依拠するほかないため、悩ましいところであることは想像に難くない。そのため前記の文章には、次の文言で始まる文章が続く。

〈純子に対する取調べ状況については、被疑者が捜査官から伝え聞くところから推測するほかないが、捜査官によれば、「純子は認めないでいいような事実まで認めよるぞ」「ポリグラフ検査も進んで受けている」などと告げられており、純子が「被疑者と共謀した」という部分については捜査官と迎合した上で供述をしている可能性も、十分窺える〉

最後の理由は“被疑者に対する取調べの不当性”

 接見時に松永が話す捜査官の言葉について、事実の検証はできない。そのため、弁護団は松永が説明した通りの言葉を使い、嫌疑がないことの最後の理由として、“被疑者に対する取調べの不当性”を取り上げ、〈自白の強要〉があったとしている。以下、松永が取り調べのなかで、捜査官に言われたとされる言葉を列記しておく。あくまでも当時は検証不可能な、松永が弁護団に話した内容である。

(写真はイメージ) ©️iStock.com

「悪あがきするな。黙って死刑になれ」

「99.87パーセントは有罪だ」

「警察は甲女供述を信用するから、純子が通電で佑介を殺したと言っていたという内容の調書を作らせてくれ。おまえが実行していないことは認めてやる」

「ここで佑介事件だけでも認めなさい。そうすれば隆也事件や智恵子事件については、あなたの言うことを信用してあげるから」

「とにかく純子に何と指示したか思い出せ。内心ラッキーと思ったことを純子にやってもらったということではないか」

松永弁護団の強固な意志

 1月30日の公判では、大方の予想通りに勾留には相当理由があるとされた。翌31日に開かれた松永弁護団の定例会見で、今回、勾留理由開示を請求した目的が明かされている。

 それは、松永は取り調べで調書を作成してもらえず、捜査段階での供述内容を記録するためだったということと、本人みずから言い分を表明することで、違法捜査の抑止を意図するためだったというものだ。そうした目的であることから、準抗告や勾留取り消し請求はしないとのことだった。

 犯行内容はともかく、弁護活動として、やれることはすべてやる――。

 松永弁護団の強固な意志が垣間見える。

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