昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

「白い人魂が動いていった」松永が主張する“スピリチュアルな”取り調べ

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #26

2020/09/22

genre : ニュース, 社会

監禁は少なくとも平成8年1月の数カ月前から

Q「由紀夫さんに肝ないし腎機能障害等があったとした根拠はなんですか?」

A「由紀夫さんに通院歴はないが、彼が平成7年(1995年)初旬に辞めた会社の同僚や友人らは、在籍時は病気もなく元気だったと証言しています。ところが、一緒に生活していた少女の話などによると、父親は平成8年に入る頃には急激にやせ細り、末期は自分では立てないほど衰弱していたというのです。その様子から肝または腎機能障害と判断しました」

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図

Q「逮捕事実に出てくる〈殺意をもって〉の根拠はなんですか?」

A「医師の治療が必要な状態にもかかわらず、病院にも行かせず、引き続き虐待行為を繰り返したことからです。1、2月は非常に寒いが、風呂場に閉じ込め、布団すら与えずに自由を束縛していました」

Q「食事は与えていたんですか?」

A「生存にかろうじて必要な食事はやっていたようです」

Q「暴行死または電撃死ではなく、死因を多臓器不全とした理由はなんですか?」

A「肝または腎臓がやられて放置すれば、ほかの臓器も侵されて多臓器不全となります。虐待による傷害、食事を与えないことによる栄養失調などを踏まえても、多臓器不全での死亡が自然です」

Q「浴室への監禁は平成8年1月頃からですか?」

A「由紀夫さんは少女より少し遅れて平成6年の暮れ頃から松永らと同居していますが、なんらかの理由で虐待を受け始め、監禁は少なくとも平成8年1月の数カ月前からと見ています」

Q「遺体の遺棄は?」

A「大分沖でしょう」

Q「残りの妹夫婦について、今後の方針は?」

A「全容の解明に全力を尽くします」

 これでまだ事件化されていないのは、緒方の妹である智恵子さん(仮名)と、その夫の隆也さん(仮名)のふたりとなった。この時点になると、取材する記者の間でも関心事は立件の有無ではなく、立件するとの前提のもと、殺人罪か傷害致死罪かということに移っていた。