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「自分にとっての当たり前が……」SMBCグループCEOが衝撃を受けた『北の国から』あの名言

ゴルフ場にされた森を、再び森に還す。倉本聰の富良野自然塾をSMBCグループが支援する深いワケ

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持続可能な社会の発展のために様々な取り組みをすすめるSMBCグループ。次世代に豊かな環境を残そうという富良野自然塾への支援もそのひとつだ

地球は子孫から借りているものなんです

太田 先生が主宰されている富良野自然塾は、オープンしてからもう14年経ったんですね。

倉本 SMBCグループさんには2006年のオープン以来、ずっと応援していただいています。感謝です。

太田 とんでもありません。立派に成長した樹々を見ていると、以前ゴルフ場だった場所とは思えませんね。

倉本 もともと森だったところを切り拓いて、ホテルがゴルフ場にしていたんですよ。それを閉じるということになったので、じゃあ僕たちの手で森に還そうと。みなさんの応援もあって、8万本近く植樹しました。

太田 自然塾のフィールドに先生の言葉を刻んだ石碑がありますね。「地球は子孫から借りているもの」と。

倉本 これはネーティブ・アメリカンの言葉なんです。彼らは土地を所有するという観念がなくて、“トラップライン”というのだけ祖先から受け継いでいます。つまり自分の罠を仕掛けてもいい土地。彼らはその土地の自然を維持し、さらに豊かなものにして子孫に渡していくわけです。そこから、こういう考えが生まれたんでしょう。

太田 借りているものだから、返さなければいけない。返すのであれば当然汚してはいけないわけで、汚したら綺麗にするのが当たり前。その当たり前のことが、いつの間にかないがしろにされてきたということですね。

倉本 日本でも明治維新以降、そういう考え方が崩されてしまった。それがいま問題なんです。

地球が怒っている。それを自覚しなければ

太田 新型コロナの問題や各地で相次ぐ集中豪雨や風水害で、よく“想定外”という表現が使われますが、本当に想定外なんだろうかと思ったりもするんです。ひょっとしたら、これって人間が自らもたらした“必然”なんじゃないかと。先生はよく「地球が怒っている」という言い方をされますよね。

倉本 やはり人間の文明が進みすぎたことから来ているという気がしています。たとえば、これだけ激甚災害が続くというのも、海水温が1度から2度高くなっていることが関係しているわけですよ。その海水温の上昇ということについて、学者も政治家も言葉では言うんだけど、肌身で考えていないような気がするんです。人間だったら、体温が2度上がっただけで大変じゃないですか。海はみんな高熱を出しているんです。我々はその海に囲まれて生活しているんだけど、自分の体温が2度上がることと同等に考えようとしない。それが地球の環境を悪くしているいちばんの原因だと思っています。

太田 『北の国から』の第1話で、「電気がなかったら暮らせない。夜になったらどうするの?」と訊ねる純に、五郎さんが「夜になったら、寝るんです」と返すシーンが出てきます。わたしはそれに衝撃を受けたんですよ。自分にとっては、夜でも明るいのが当たり前で、仕事をしたり遊んだりしているわけで、夜になったら人は寝るものなんだと言われると、ああ、そうかと(笑)。

倉本 日が暮れれば寝る。日が昇れば起きる。昔はそれが当たり前の生活だったんですよ。ところが、いつの間にか、人間は夜行性の動物になってしまった。

太田 夜になっても人間が活動しているということ自体、地球にとっては想定外だったでしょうからね。地球にとって想定外の出来事で、最初は足の裏をくすぐられている程度だったものが、だんだん激しくなってきて、さすがの地球ももう我慢できなくなって、人間のやっていることを払いのけていると。そんな感じがしますね。

倉本 同感です。自然塾では、フィールドを使って地球環境を学ぶ仕掛けをつくっているんですが、そのひとつに「地球の道」というのがあるんです。

太田 地球の「歴史」46億年になぞらえた460メートルの遊歩道ですね。

倉本 時間軸を空間軸に置き換えてみたんですけど、その460メートルのうち、人類が生きてきたのは2センチほどなんですよ。恐竜は1億年で、10メートルくらいあります。

太田 人類はたった2センチ……。

倉本 あれを見ていると、人類があと1センチ伸ばすのは絶対に無理だって気がするんです。それでもあきらめてはいけない。僕が富良野に移り住んだ当初、敷地に巨大な岩が顔を覗かせていました。それをなんとかして退かしたい。で、地元の農家の青年に相談したら、スコップで岩のまわりを掘って丸太で動かせばいい。じっくりやれば1日2、3センチくらいは動くんじゃないかと言うんですね。驚きましたよ。1日2センチ、10日で20センチって、僕ら都会の感覚からすると、「動かない」という範疇じゃないですか。

太田 ですよね。それでもやり遂げたんですか?

倉本 動かしましたよ。スコップとバールで。環境問題はそれと同じ。とにかく長い時間がかかるんです。1日2センチ、10日で20センチの感覚でコツコツやっていくしかないんです。

太田 それがいつの日か「未来への懸け橋」になるというわけですね。私どもも4月に「SMBCグループ サステナビリティ宣言」を出しました。自分たちだけでなく、お客さまやまわりの社会を巻き込んだ形で、環境課題の解決に貢献できるよう、よりいっそう頑張りたいと思います。

くらもとそう●脚本家。1935年東京都生まれ。「前略おふくろ様」「北の国から」シリーズ、「やすらぎの郷」など数々の名作を発表

おおたじゅん●三井住友フィナンシャルグループ取締役執行役社長 グループCEO。1958年京都府生まれ。82年旧住友銀行に入行。三井住友フィナンシャルグループ取締役兼副社長を経て、19年4月から現職

富良野自然塾では、様々な自然環境教育プログラムや生活体験プログラムが用意されている。
住所:北海道富良野市下御料
TEL 0167-22-4019

INFORMATION

お二人の対談動画はSMBCグループのサイトで見ることができます。
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/furanodialogue

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