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「日本にはまだ磨いてない玉がたくさんある」コロナが暴いた日本の“実態” 危機をチャンスに変えるには…

ロバート・フェルドマン×ちきりん 社会人の学び直しが日本を強くする

残されたままの年金問題

ちきりん 地方都市は、東京とは違う独自の文化を持つ必要があります。ニューヨークが金融や芸術の街なのに対して、列車で数時間の距離にあるボストンはアカデミック。ハーバードにMITという大学を街のアイデンティティとして差別化する、という都市戦略ですよね。

 大阪と福岡はわりと頑張ってる気がしますけども、そうした戦略が、新潟や仙台、札幌にも必要だと感じます。

ロバート 国に目を移すと、コロナ対策でたくさんお金を使ったので、財政の健全化がさらに遠のいてしまいました。老後の資金が2000万円足りない、という年金の問題も残されたままです。すべてを解決する策は、ひとつしかありません。国民みんなが、もっと長く働くことです。

 私の結論は、2040年までに、企業の退職年齢を段階的に76歳へ引き上げる。引退から寿命がくるまで、どのくらい残っているかを計算した結果です。

ちきりん 余命から逆算して、年金支給開始年齢を76歳にするということですね。

ロバート そうです。大人たちは、若い人の負担になってはいけません。

ロバート・フェルドマン氏 東京理科大学教授 兼 モルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザー

ちきりん 働く期間が長くなると、「楽しく働ける仕事に就いていない人」はつらくなりそう。

ロバート ちきりんさんの考えでは、退職年齢はどうすればいいですか。

ちきりん 私は、年齢による退職を企業が一律に決めるのは、もうやめたほうがいいと思っています。年をとればとるほど、人は多様になります。経済的な成功の度合いも違ってくるし、ずっと働き続けたい人と、あまり働きたくない人に分かれてきます。なので「この年齢だからこうしなさい」と一律に決めるのは、無理がある。

ロバート 退職する年齢を自分で決める、ということですね。

日本は「自己決定しないまま人生を終えられる国」

ちきりん 欧米では、大学卒業後に少し遊んでから就職するのもありだし、働いている途中で一回辞めて勉強するのもありだし、自分の人生をどう組み立てるか、それぞれが自己決定しますよね。

 でも日本は、何も自己決定しないまま人生を終えられる国なんです。進学とか就職とか、すべて年齢によって国がレールを敷いています。そのせいで、自分の人生がうまくいかなかったら国が補償すべきだ、みたいな感覚があるんです。

 もし「いつ就職してもいいし、いつ退職してもいい。何歳まで働くかは自分で決めなさい」と言われたら、自分はどうしたいか、誰もが考え始めるはずです。

 会社と個人が話し合って、好きな時期にバラバラに退職する制度になったら、自分の人生に対する日本人の自己決定意識が高まると思うんですよね。

ロバート 本当は「老後の資金を誰が払うんですか。自立しなさい」と政界、労組が言うべきなのに、誰も言いません。

ちきりん 選挙がありますからね。