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「日本にはまだ磨いてない玉がたくさんある」コロナが暴いた日本の“実態” 危機をチャンスに変えるには…

ロバート・フェルドマン×ちきりん 社会人の学び直しが日本を強くする

年金は社会保障ではない

ロバート 年金制度についても同じです。私は公的年金に100%賛成ではありませんが、自分が何歳まで健康で生きるか、世の中がどう変わるかわからない以上、必要だと思っています。人間は、目の前のことしか考えない動物ですから。

ちきりん 年金は老後保障のための福祉といったイメージがありますが、実際はアメリカの401kと同じで、個人の貯金に近い制度です。給料が高い人ほど、払う年金保険料は高く、もらえる額も大きい。反対に若い頃のお給料が安い人は保険料も低い代わり、もらえる額も少ない。

 大企業で定年まで勤めたら、けっこうな額の年金がもらえます。そういう人は現役時代の貯金と退職金もあるので、実は年金なしで暮らせる人も多いんです。一方、ずっと非正規で働いてきて貯金も退職金もない人は、年金も少ない。

 つまり今の年金は社会保障ではなく、事実上、個人の資産形成プログラムなんです。そこを理解せず、国が個人を助けてくれる社会福祉制度だと誤解している人が多いのも問題です。

ちきりん氏 社会派ブロガー

「運」が大きい新卒一括採用

ロバート 新卒一括採用は日本独自のシステムですが、運に左右されますね。たまたまバブル期だった人はラッキーですけれども、突然コロナのパンデミックで不景気になって、採用人数が絞られてしまう年もあります。その年の新卒はみんな非正規雇用で低賃金のまま働き、老後にもらえる年金も少ないのでは、あまりに不公平ですよ。

ちきりん 新卒一括採用は弊害も大きな制度ですよね。だからこそたまたま新卒就職時が不景気で、その後もギリギリの生活が続き、年金を払えてこなかった人にこそ給付を増やさないといけない。でもそうすると、たくさん払ってきた人は不公平だと感じるでしょう。この点についてはどう思われますか。

ロバート 私は基本的に、ベーシックインカムに賛成なんです。「非正規の人たちは貯蓄しなかったのがいけないんだ」と、正規の人たちが言うのはおかしい。

ちきりん あと、非正規で働く人の貧困や、老後の生活資金不足について考えると、少なくとも都市部での最大の問題は、住まいにかかる費用が高すぎることです。家賃を払うにしろ、マイホームを買うにしろ家が高すぎる。

 高齢になって孤独でお金がない人も、みな一人ずつ6畳のアパートに住んで、5万円とか7万円といった家賃を生活保護や年金から払っています。これは壮大な無駄だと思います。

ロバート 家賃や住宅ローンの負担は、大きいですからね。